研究課題
基盤研究(C)
本年度はマウスのエクソン51スキップに対する9型AAV/改変U7 snRNA/マルチ・カセットの構築を行った。これまでに我々が示したマウスのエクソン51スキップの有効配列であるエクソン51のアクセプターおよびドナーに対するアンチセンス配列を決定した。ssAAVには、それぞれ5個づつのタンデムで発現するように作製した。またscAAVに対しては、それぞれ一種類づつ導入している。その後、マウス由来細胞C2C12で感染させ、エクソン51のスキップを確認している。両者にskipping効率に大きな違いを認めていない。その後、mdx52の前脛骨筋に対して、投与して検討した。その結果、筋肉においても2種類のベクターの両方でskippingが確認できた。ただ効果に関しては、ほぼ同等であった。AAVによる系でも充分skippingが誘導できることが確認できた。現在、長期投与によるskipping効率およびジストロフィン発現の変化について検討中である。一方で、ヒトのエクソン45-55マルチ・スキップを誘導するために、昨年まで有効なスキップを起こす配列を同定できていないエクソンに対して、ヒト由来細胞で検討を行った。具体的にはエクソン47/48/49/52/54について、skippingを起こす候補配列をモルフォリノで5-7種類づつ合成した。その候補配列を用いて効率よくskippingを起こす最適配列を確定した。その後、エクソン45から55に対するスキップさせる11種類のモルフォリノを合成して、DMD患者由来細胞を用いて、マルチスキッピングを誘導できるか検討した。2種類の細胞で45-55スキップが確認できており、現在、これらの配列を元にAAVを作成する予定である。
2: おおむね順調に進展している
当初の目標であるマウスエクソン51スキップに関しては、筋への局所投与におけるskippingを確認できており、現在、全身投与も実施中であり、順調にすすんでいると考えている。またヒトに対するマルチエクソン・スキップに関しても、skippingに必要な各エクソンの配列は決定しており、アンチセンス核酸であるモルフォリノではこれらのカクテルでのskippingは確認できており、当初の予定通りと考えている。
平成25年度に引き続き、今度は対象マウスに全身投与を行い、心筋および骨格筋でskippingやジストロフィンの発現について検討する予定である。またヒトに対するマルチエクソン・スキップに関してはベクターを構築中であり、これらをDMD患者由来細胞に感染させて、AAVでマルチ・スキッピングを誘導できるか検討する予定である。
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