• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実施状況報告書

神経疾患における時間情報処理の中枢機構に関する総合的検討

研究課題

研究課題/領域番号 25461309
研究機関東京大学

研究代表者

寺尾 安生  東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20343139)

研究分担者 花島 律子  北里大学, 医学部, 講師 (80396738)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード時間認知 / 時間再生 / 時間的統合 / 大脳基底核 / 小脳 / パーキンソン病 / 脊髄小脳変性症
研究実績の概要

時間処理能力の異常を神経疾患患者、とくにパーキンソン病(PD)、小脳疾患患者において検討した。用いた課題は①異なる長さの音(S1,S2)を2つ聞かせ、その後にどちらの音が長いか判断させる課題(時間認知課題)、②ある長さの音を聞かせたあと、それと同じ長さの音を再生させる課題(時間再生課題)、及び③ある一定の間隔(ISI)で鳴る音にあわせてコンピューターのキーボードをタッピングさせる課題(タッピング課題、ないし時間的統合課題)の三種類である。①の課題については、S1音の長さを一定とし(基準音、700ms、2100ms、3500msの三種類の長さとする)、S2の長さを様々に変えた。PDではS1が長くなるにつれ、健常者と比較してS2を過小評価する傾向があることがわかった。②の課題においては、PD患者では時間再生が健常者より不正確だった。呈示された時間より短く再生することが多かったが、個人差も大きく、症例数ウを増やして検討が必要であると考えられる。③の課題ではISIが短いと、音に合わせてタッピングするのは容易であるが、ISIが長く(1-2秒以上)なるにつれて、音のタイミングに合わせてボタン押しができなくなる(時間的統合の限界)。この限界値は全体としてPD患者と健常者で有意に違わなかった。従ってPDでは時間の認知・再生は異常が見られるが、時間的統合の限界については健常者と差を認めなかった。小脳疾患患者では、時間的統合の限界はPD患者、正常人と比較し有意に短かった。今後は小脳疾患患者において時間認知課題・認知課題を検討し、PD群、健常群と比較することにより、時間的処理能力の中枢神経機構を明らかにしていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

神経疾患における時間認知・再生・時間的統合については、パーキンソン病においては概ね目標症例数の検討を終了したが、脊髄小脳変性症については時間認知・再生課題についてはさらに症例数を増やして検討する必要がある。

今後の研究の推進方策

パーキンソン病(PD)での結果を、脊髄小脳変性症の結果と比較することにより、またPD患者において薬剤(L-dopa製剤・ドパミン受容体刺激薬など)を投与した前後で時間の脳内情報処理機構がどのように変化するかを調べることにより、さらに神経疾患における時間情報処理の病態を明らかにしていく。さらに、これらの脳内情報処理課題を被験者が行っている間の脳活動を健常者において脳磁図(脳波も同時に記録)・機能的MRIを用いて記録・解析することにより、どのような皮質領域がどの時間的順序で関与しているかを調べていく。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] he 3-second rule in hereditary pure cerebellar ataxia: a synchronized tapping study2015

    • 著者名/発表者名
      Matsuda S, Matsumoto H, Furubayashi T, Hanajima R, Tsuji S, Ugawa Y, Terao Y
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 10(2) ページ: e0118592

    • DOI

      doi: 10.1371/journal.pone.0118592

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Visual scanning area is abnormally enlarged in hereditary pure cerebellar ataxia2014

    • 著者名/発表者名
      Matsuda S, Matsumoto H, Furubayashi T, Fukuda H, Hanajima R, Tsuji S, Ugawa Y, Terao Y
    • 雑誌名

      Cerebellum

      巻: 14(2) ページ: 63-71

    • DOI

      doi: 10.1007/s12311-014-0600-5

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Top-down but not bottom-up visual scanning is affected in hereditary pure cerebellar ataxia2014

    • 著者名/発表者名
      Matsuda S, Matsumoto H, Furubayashi T, Fukuda H, Emoto M, Hanajima R, Tsuji S, Ugawa Y, Terao Y
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 9(12) ページ: e116181

    • DOI

      doi: 10.1371/journal.pone.0118592

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] パーキンソン病における時間認知障害2014

    • 著者名/発表者名
      寺尾 安生、古林 俊晃、徳重 真一、松田 俊一、濱田 雅、堤 涼介、清水 崇宏、田中 信行、寺田 さとみ、花島 律子、松本 英之、辻 省次、宇川 義一
    • 学会等名
      第43回日本臨床神経生理学会学大会第55回日本神経学会総会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      2014-05-23 – 2014-05-23

URL: 

公開日: 2016-05-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi