研究課題/領域番号 |
25461313
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
伊藤 瑞規 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (50437042)
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研究分担者 |
渡辺 宏久 名古屋大学, 脳とこころの研究センター, 特任教授 (10378177)
祖父江 元 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20148315)
千田 譲 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (80569781)
熱田 直樹 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (90547457)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 多系統萎縮症(MSA) / VBM / TBSS / 安静時脳機能MRI / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
名古屋大学医学部附属病院神経内科に通院している、Gilmannの診断基準でprobable以上であり、頭部MRIの撮影が可能である多系統萎縮症患者18名に、本研究の趣旨・方法などを説明し、文章によるインフォームドコンセントを得ることができた。登録できた18名のMSA患者を、臨床評価項目として神経学的診察所見(小脳失調、パーキンソニズム、自律神経障害、錐体路徴候の有無など)、臨床評価スケールとしてunited multiple system atrophy rating scale(UMSARS)を評価した。同時に、3.0T MR装置を用い、最適化された条件で頭部MRIを撮像した。頭部MRIの指標として、voxel-based morphometry(VBM)、tract-based spatial statistics(TBSS)と安静時脳機能MRIを施行し、皮質や白質の異常を検討した。その結果、VBMでは小脳の萎縮を認めたが大脳の萎縮は認めなかった。また安静時脳機能MRIでは小脳の一部を除き皮質の機能的回路は保たれていた。ただ被殻に関心領域を設定すると、淡蒼球、小脳、および前頭葉の一部との皮質下の機能的回路の障害を認めた。一方TBSSでは小脳から脳幹、前頭葉を中心とした皮質下の解剖学的回路の広範な障害を認めた。以上の結果からMSA では、皮質下の解剖学的回路の異常が先行して出現し、進行に伴って皮質・灰白質病変が出現してくる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
18名の多系統萎縮症患者を登録し、全例予定通り臨床情報と頭部MRIの指標としてVBM、TBSSと安静時脳機能MRIを施行することができた。これまでの解析でVBMやTBSSを用いることにより、MSA において、まず皮質下の解剖学的回路の異常が先行して出現し、進行に伴って皮質・灰白質病変が出現してくる可能性があることが解明できた。
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今後の研究の推進方策 |
27年度はさらに症例数を増やして臨床情報、頭部MRIを得る予定である。 VBMやTBSS、安静時脳機能MRIなどと臨床情報を組み合わせて解析し、バイオマーカーとして使用するために最適な指標、解剖学的位置を検討する。 これらの検討結果が得られた時点で論文化し、研究結果を公表する予定である。 現在のところ、特に研究遂行にあたり問題点は生じておらず、対象患者からも好意的な意見を得ている。
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次年度使用額が生じた理由 |
発注した論文作成用のソフトウェアの納品が平成27年度になる。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度より翌年度にかけて予定している論文関連への支払いに充当する。
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