研究課題/領域番号 |
25461314
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
関口 兼司 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (70533793)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 高密度表面電極 / 単一運動単位 / 筋萎縮性側索硬化症 |
研究概要 |
高密度表面電極を用いるための汎用筋電計における周波数帯域フィルター、必要電極数などの条件設定と、電極面の抵抗を軽減するための電極素子および電極設置シリコンシートの材質・形状についての試作を行った。球状の電極では、貼付表面の皮膚と接触せず空気に触れる部位が存在するため交流波が人工産物として混入し、再現性のある生体信号が検出できないことが判明したため、Ag/AgCl処理をした微小円盤型電極をシリコンシート内に埋め込む仕様としたところ、電気刺激を用いても刺激に伴う人工産物の混入を最小限にすることが可能となった。この電極による電気的空間分解能を検証するため、刺激によって指表面から得られる活動電位(感覚神経活動電位sensory nerve action potential)の微小局在を測定した。その結果、電極間距離4mmでも個々の電極からは独立した生体信号を検出することが可能であることが明らかとなった。通常使用するサイズの表面電極で得られる感覚神経活動電位は,広範囲に複雑に分布する局在性電位の平均であることが判明し、これは高密度表面電極を用いて得られた新たな知見であるとして発表した。 完成した高密度表面電極を用いて、軽度随意収縮時の表面筋電図信号からの単一運動単位の分離同定法を検討するため、倫理委員会の承認を得て健常対象者および筋萎縮性側索硬化症患者の初回発火運動単位の母指球筋等から得られる電位を記録した。収縮が中等度以上になると干渉波を形成するため、微弱収縮時における最大振幅となる電極位置で得られた初回発火運動単位の波形の形状および発火頻度を評価の対象とした。筋萎縮性側索硬化症患者の初回発火運動単位は振幅および陰性部分面積とも健常対象者より高値である傾向があり、今後症例数を増やして有意性を検討すると同時に発症早期例における記録を蓄積し早期診断における有用性を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
臨床で波形が検出可能な条件設定を整えることと、電極の試作品づくりに時間がかかったため症例の蓄積が遅れているが、対象者が多いため今後のデータ蓄積は期待できると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
完成した電極を用いて数多くの症例でデータを蓄積し、筋萎縮性側索硬化症に特徴的な所見について検討する。また発症早期例を集積し早期診断における有用性を検討する。 筋萎縮性側索硬化症の早期診断における筋線維束性収縮の有用性が言われており、超音波検査と高密度表面電極を用いた筋電図検査の併用で診断率の向上がないかもあわせて検討して行く。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究遂行のための消耗品経費および研究発表経費 電極試作代に加え、新たに超音波検査との同時記録も計画しており、超音波検査画面と筋電図画面の同時表示を可能にする映像音声混合装置を計上した。
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