研究実績の概要 |
1.HAC導入MSCのALSモデル動物への移植 変異SOD1G93A高発現マウスを同腹,体重を基準に,HAC導入MSC移植群,HAC非導入MSC移植群,対照群(手術のみを行い生食を注入)3群にグループ分けした.HAC導入MSCを事前に培養し,5×106個の細胞を移植した.移植は,既報告と同様の方法で施行し,手術のⅠ週間前より免疫抑制剤を投与した.移植前より毎週臨床評価項目の測定を行った.移植経路(経髄腔内,経静脈),移植時期(60日,100日)の検討を行った. 2.マウスの症状・行動評価 移植に引き続き,臨床評価項目(hind limb extension reflex, foot prin t, body weight)を毎週1回評価した.同時にマウスの発症,症状進行の程度の判定を行った.マウスの苦痛の軽減のため,①ピーク時体重の20%の減少,②横臥位として30秒以内に立ちなおることができない,③眼に高度の感染を認める,の3項目のうち1項目を満たした時点で,臨床的死亡と判定し安楽死を施行した.安楽死に先立ち,血清の採取,生化学的解析のための脳・脊髄の凍結保存,病理標本の作製を行った. 3.解析結果 最も高い有効性を示したのは,経髄腔内投与の100日齢での投与であった.移植細胞の生着後の動態解析を行ったところ,移植後早期に移植細胞は宿主内で減少し長期間生着するものは極めて僅かであった.
|