研究実績の概要 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は進行性に全身の筋力低下をきたす難病であり,いまだ有効な治療法はない.細胞移植治療や神経栄養因子による治療は将来の治療として有望されているが,それぞれ単独での有効性は高くはない.本研究では細胞移植治療に神経栄養因子治療を組み合わせることで治療効果を向上させうると仮定し,ALSの動物モデルにおいて実際に治療効果を確認した. 人工染色体(HAC)技術を用いて,グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF),インスリン様成長因子(IGF-1),肝細胞増殖因子(HGF)を同時発現する骨髄間葉系幹細胞を試み,GDNF, IGF-1, HGFをいずれも高発現する骨髄間葉系幹細胞株を樹立した.本細胞株を移植する上での最適な条件を検討するため,種々の日齢(60,80,100,120日)のマウスに,2種類の投与方法(経静脈的投与と脳室内投与)で細胞移植を実施し有効性を検討した.脳室内への細胞移植を100日齢に行うと,対照と比較してALSマウスの生存期間は有意に延長した.すなわちHACを用いた細胞改変により治療効果を強化することに成功した.
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