研究課題/領域番号 |
25461317
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
林 信太郎 九州大学, 大学病院, 講師 (90312876)
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研究分担者 |
河村 信利 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 共同研究員 (00432930)
大八木 保政 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30301336)
立石 貴久 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 共同研究員 (50423546)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 孤発性筋萎縮性側索硬化症 / 樹状細胞 / 単球走化性蛋白1 / ミクログリア / マクロファージ |
研究概要 |
孤発性ALS (SALS)7名、コントロール 5名の剖検胸髄切片をKB染色、Mi/MΦ(CD68、Iba-1)、樹状細胞 (CD11c)、末梢血単球 (CCR2)、常在性Mi (CX3CR1)と各々のリガンドCCL2、CX3CL1、T細胞 (CD45R0)、B細胞 (CD20)、に対する抗体を用いて免疫染色を行った。脊髄前側索 (ALF)は、錐体路 (CST)とCSTを除いた前側索 (ALFoc)に区別し定量評価と統計解析を行った。結果、SALS全例で、髄鞘染色でALF全域にびまん性の淡明化を認めた。ALFocとCSTに出現する免疫細胞群は、次の3パターンに分類出来た。1) ALFocよりCSTで増加: CCR2 (5例)、CCR45R0 (5例)、CD68 (5例)、2) ALFocとCSTで同程度:CCR2 (2例)、CD11c (4例)、CD45R0 (2例)、CD68 (2例)、Iba-1 (7例)、3) CSTよりALFocで増加:CD11c (4例)。CCL2陽性顆粒はSALS全例のALFに加えて、程度は軽いが後索においても認められ、形態学的にアストロサイトに発現していると考えられた。CD20、CX3CR1、CX3CL1では有意な所見はなく、SALSの脊髄後索やコントロールでは全マーカーについて陰性結果であった。T細胞はCSTで、樹状細胞はALFocで統計学的に有意な増加を認めた。以上より1) SALSの脊髄白質に出現するMi/MΦは、末梢血単球由来である、2) CSTではT細胞や末梢血由来MΦが、ALFocでは樹状細胞の浸潤が強い、3) CCL2は、CCR2陽性骨髄系樹状細胞、単球、活性化T細胞の走化性因子であるため (Henkel JS et al. 2004)、今回の検討で認めたALS脊髄白質の細胞浸潤との関連性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SALSの脊髄白質に浸潤するマクロファージの由来は活性化ミクログリアではなく、末梢血単球由来である可能性を初めて示した。さらに、SALS脊髄白質変性は錐体路に留まらず、錐体路を除いた前索と側索の広範囲に及んでおり、両領域に出現する免疫細胞群の種類が明瞭に分かれる症例が半数以上存在することを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
1) SALS脊髄白質におけるCCL2陽性細胞と、1)CD11c陽性細胞、2) CD68陽性細胞、3) iba1陽性細胞数との相関、ALSFRS-Rとの相関、運動ニューロン脱落との相関、TDP43異常との相関を解析する。もし相関関係が認められた場合には、モデル動物に抗CCL2抗体を投与し表現系や組織に生じる病理変化を分析する。 2) 培養系を用いた実験により、カルレチンのグリア性炎症惹起性を解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため、当初の見込額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めて行く。 SOD1 (G93A) Tgマウス脊髄を用いたpresymptomatic、early symptomatic, late symptomaticごとにわけた免疫組織化学的検討を、26年度に計画している研究とあわせて行う。
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