研究課題
「自己貪食空胞性ミオパチー(AVM)」は、病理学的に筋鞘膜の性質をもつ極めて特徴的な自己貪食空胞(AVSF)を有する稀少な筋疾患で、根治療法はない。発症機序として、生体防御の機構であるオートファジーの関与が疑われるが、依然原因不明である。平成23年度までに行った本邦初のAVMの国内実態調査の結果で見出した、Danon病 12家系27例、過剰自己貪食を伴うX連鎖性ミオパチー(XMEA)1家系3例を中心に、詳細に臨床症候を解析した。Danon病では、致死性心筋症が予後決定因子として重要で、心機能のフォローが必要不可欠である。また、女性では、早期発症例や突然死を来す例が見つかり、女性における病態解析も重要である。新規患者として、早期発症の心筋症と精神遅滞を呈した世界的にも稀なDanon病女性1女児例を発見し、本例について臨床病理学的および遺伝学的に詳細に解析を行い、国際誌に論文発表した。Danon病とXMEAについては、臨床症状と筋病理所見、遺伝学的結果を再精査し、日本神経学会にて承認を受けるべく新しく診断基準を作成した。また以前に先天性AVMとして報告した症例から、XMEAの原因遺伝子を見出し、先天性AVMとXMEAがアレル病であることを明らかにして、XMEAの臨床症状の広がりを示した。また、過去の研究に引き続き、空胞関連の蓄積性蛋白のAVMの筋組織での局在・機能について検討を行った。TDP-43は、RVを伴うAVMのヒトとモデル動物で、自己貪食空胞での過剰な蓄積を病理学的および生化学的に確認した。一方、FUSはいずれにおいても生化学的な発現は認めたが、病理学的には発現を確認できなかった。さらに、Danon病の患者とモデル動物の筋組織で、ライソゾーム・エンドソーム経路に関与する蛋白VAMP-7, Rab5, TfR, LC3はいずれも過剰蓄積を筋病理学的に認めた。Danon病におけるライソゾーム・エンドソーム系の亢進を明らかにした。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
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