研究課題/領域番号 |
25461326
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
仲野 春樹 大阪医科大学, 医学部, 助教 (10444027)
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研究分担者 |
佐浦 隆一 大阪医科大学, 医学部, 教授 (10252769)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 神経伝導検査 / 超音波検査 / 多発神経障害 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、神経伝導検査のなかでも手技の難度が高い神経近接法を、超音波ガイドを用いることによって簡便で安全に行う方法を確立することである。前年度には、下肢の脛骨、浅腓骨神経において超音波画像の神経描出が容易で、かつ針の挿入が可能な部位を特定した。今年度は、超音波ガイド下での神経近接法による測定を試行した。しかし実際には超音波だけでは、針電極の描出が困難な場合があった。そこで、超音波で挿入位置を決め、針電極の深さは従来の電気刺激も併用する方法で測定を行った。 脛骨神経では内果あるいは、やや近位のレベルで、超音波短軸像により円形に描出された脛骨神経の中心を針電極の挿入位置とした。挿入した針電極に電気刺激を行いながら針電極の深さを決定した。次にこれを記録電極にして、神経伝導検査を行うと、足底での内側足底神経刺激では振幅10-20μV、母趾刺激では2-4μVの電位が得られた。 浅腓骨神経では、下腿外側の外果より14-18 cm近位の下腿外側で、超音波を用いて長趾伸筋と長腓骨筋の境界にある腓骨の前縁の角から浅腓骨神経を同定した。針電極を挿入して電気刺激を用いて深さを決定した。足関節および第2,3趾から電気刺激を行い、神経伝導検査を行うと、足関節レベルでは振幅約10-20μV、足趾刺激では2-3μVの電位が得られた。 超音波ガイドだけでは針電極の位置を決定するのは困難であったため、針電極の位置調整には電気刺激の併用が必要であった。しかし超音波ガイドは最初の刺入点を決めるには有用であった。また下腿のような解剖学的指標がない場所、また神経の走行が皮膚直下ではない場所でも針電極の挿入が可能であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は針電極の描出に、超音波モニター下に針電極の描出させることを試行したが、単極針電極の針径が小さいため汎用の超音波機器では電極の描出は困難であった。電気刺激も併用することで、安定した電位が測定できるようになった。しかし、まだ手技として所要時間がかかるため、多数の健常人による正常値の決定と、患者への臨床応用にいたらず、健常人若干名の試行にとどまっている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は手技時間を短縮できるように検査例数を増やしていく。また健常人による正常値の決定と適応できる患者について臨床応用していく予定である。また本研究に付随して針筋電図の際の筋への針電極挿入に超音波ガイドが有用であることが分かってきた。筋電図への応用も同時に進めて行きたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
健常人による被験者の測定がまだ少数であったためと患者への臨床応用をまだ行っていない。その結果、被験者に使用予定であった電極などの消耗品の費用が少なかったため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度までの申請予算の残額はH27年度に繰り越して計上する。健常人ボランティアと患者に使用する予定であった電極などの消耗品を使用する。また、次年度分として、計画していた患者への臨床応用に必要な電極などの消耗品の使用は予定通り行う。また、これまでに確立した方法の発表を国内学会で行うため、その学会参加の費用として使用する。
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