研究課題/領域番号 |
25461327
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
小林 雅樹 群馬大学, 生体調節研究所, 助教 (80373041)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | メタボリックシンドローム / グルカゴン / 糖尿病 / 膵α細胞 |
研究概要 |
近年、血糖調節機構におけるグルカゴンの重要性が認識されている。しかし、一般的に行われているグルカゴンC末端に対する抗体を用いた競合法イムノアッセイでは反応特異性が低く、グルカゴンの変化について正確に測定することが不可能であった。そのため、申請者は従来の競合法イムノアッセイに比べ反応特異性が高く、かつ高感度のグルカゴンサンドイッチELISAの開発を行った。 この新規開発測定系は10μlの血漿を5~10pg/mlの範囲で、抽出等の前処理をせず直接測定を行うことができる。測定の信頼性について、血漿検体を用いた並行精度試験、日差再現性試験による精度試験、希釈直線性試験、添加回収試験による真度試験により確認した。反応特異性試験の結果、グルカゴン以外のペプチドと反応しないことを確認したが、生体試料においても新規開発測定系がグルカゴンを特異的に測定することを確認するため、逆相HPLCによる分離検体を用いた解析を行った。αTC1.6細胞の培養上清および血漿について、SepPakカラムによる脱塩後、SP Sephadexにより得た弱塩基性分画を逆相HPLCにて分離し、各分画ごとにアッセイを行った。その結果、従来測定系ではグルカゴン溶出分画を含む複数の分画において免疫陽性になったのに対し、新規開発測定系ではグルカゴン溶出分画が反応のピークとなることを確認した。この結果より、この新規開発測定系は、生体試料においてグルカゴンのみを特異的に検出していると考えられる。 同一検体を用いて新規開発測定系と従来測定系との比較検討を行った結果、測定結果に全く相関は認められなかった。この結果より、真のグルカゴンの分泌動態は従来考えられていたものとは大きく異なっていると同時に、C末抗体結合ペプチドはグルカゴンとは異なる分泌変化をしていることが予想される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度はグルカゴン測定系の検証を行い、特に生体試料においてグルカゴンを特異的に検出していることを明らかにすることを目標としていたが、これについてはほぼ達成できたと考えられる。また、Big Plasma Glucagon 分画におけるグルカゴン分解活性抑制の為のプロテアーゼインヒビターの選択については、新規開発測定系は従来測定家に比べると反応時間は短く、グルカゴンの添加回収試験においても回収率は95%以上であったことから、アプロチニン以外のプロテアーゼインヒビターの添加は必須ではないと判断した。 以上より、研究は当初の予定通り進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
糖尿病モデル動物における真の血漿グルカゴン濃度の変化を測定し、糖尿病に伴う真のグルカゴンの分泌様式の変化を明らかにする。糖尿病モデルマウスと、膵α細胞にてGFP を発現する遺伝子改変マウスとを組み合わせ、糖尿病状況下の膵α 細胞をセルソーターにより分離、回収し、グルカゴン分泌等に関わるシグナル分子の発現解析を行うことで、糖尿病に伴う膵α 細胞機能異常の分子メカニズムを明らかにする。
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