生体は、絶食中のエネルギー源として当初は肝のグリコーゲンを利用するが、絶食が長引くと肝のグリコーゲンの不足が引き金となって、脂肪組織のトリグリセリドを利用するようになる。絶食遷延時にこのようなエネルギー源の移行が起きるためのメカニズムはよく分かっていない。絶食が遷延すると肝のグリコーゲンが消費され、その情報を肝内で感知し肝から脳へ、脳から脂肪組織へと伝達される交感神経回路が活性化される。 その神経性情報伝達により脂肪組織でのトリグリセリド分解が惹起されることが明らかになった。このことが、絶食時のエネルギー源が肝のグリコーゲンから脂肪組織のトリグリセリドに移行するメカニズムであると考えられる。
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