研究課題
2型糖尿病では糖毒性・脂肪毒性によって膵β細胞疲弊が引き起こされる。本研究の目的は、その分子メカニズムを解明することである。これまでに、レプチンシグナル不全のob/ob、db/dbマウスから膵ラ島を単離し、酵素処理によって単一細胞にしたものをフローサイトメトリーで解析した結果、膵β細胞の細胞膜上でのreceptor for advanced glycation end-products (RAGE) 発現が確認できた。続いて、培養マウス膵β細胞由来のMIN6細胞に0.2 mMパルミチン酸あるいは0.2 mMオレイン酸を24時間暴露することでRAGE が細胞膜上に発現誘導し、0.2 ug/mlレプチン受容体アンタゴニスト(D23L/L39A/D4A/F41A; PLR Ltd)を前処理することにより、RAGE発現はさらに有意に増強した。次に、MIN6細胞でインスリン分泌能を調べると、0.2 mMパルミチン酸あるいは0.2 mMオレイン酸の24時間処理によって有意にインスリン分泌能は低下した。さらに0.2 ug/mlレプチン受容体アンタゴニスト前処置と50 ug/ml AGE-BSA暴露がそこに加わることでさらに悪化した。細胞内Caspase-3/7の活性化を指標にしてアポトーシス細胞を検出すると、0.2 mMパルミチン酸あるいは0.2 mMオレイン酸の処理によってアポトーシス細胞数が有意に増加したが、0.2 ug/mlレプチン受容体アンタゴニスト前処置と50 ug/ml AGE-BSAが加わることでその数は著増していた。レプチン受容体シグナル遮断と遊離脂肪酸の暴露によってRAGE発現誘導が生じ、さらにそこに糖化タンパクAGEが加わることにより膵β細胞由来MIN6細胞はアポトーシスに陥り、インスリン分泌不全になることが分かった。
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