研究課題
基盤研究(C)
Notchシグナルは炎症細胞、血管細胞などの多様な細胞において幹細胞維持、増殖、活性化と多面的な生理作用があるため、肥満の病態にも大きく関与していると仮定した。我々のNotch受容体遺伝子改変マウスの実験モデルを用いた豊富な観察と経験から、Notch1ヘテロ欠損マウスにおいて体重増加に変化が出るものと予想し以下の検討を行った。Notch1ヘテロ欠損マウスが食餌量の変化がないにもかかわらず、肥満しやすいこと から、通常食、高脂肪・高ショ糖食を与えて対照マウス、Notch1ヘテロ欠損マウスの4週齢から16週齢まで体重を計測した。両群間で食餌量に差はなかったが、12週齢以降いずれの食餌でもNotch1ヘテロ欠損マウスのほうが体重増加が大きかった。また、内臓脂肪の重量として鼠蹊部の脂肪重量を図ったところ、通常食では差がなかったものの、高脂肪・高ショ糖食ではNotch1ヘテロ欠損マウスのほうが重量が大きかった。MRIで内臓脂肪量を測定するとやはり、高脂肪・高ショ糖食後の16週齢ではNotch1ヘテロ欠損マウスのほうが脂肪量が多かった。脂肪組織について組織を検討した。Notch1ヘテロ欠損マウスでは、肥大した脂肪細胞と、逆に幼若と思われる径の比較的小さい脂肪細胞が多く、Notch1シグナルが、脂肪前駆細胞の増殖、あるいは脂肪分化・成熟に関与していると考えられた。今後は脂肪組織における脂肪の増殖・分化のマーカーの発現変化を測定予定である。
3: やや遅れている
マウスの繁殖が遅れ、必要な引数をそろえるのに時間がかかっている。
対照マウス、Notch1ヘテロ欠損マウスに、4週齢から通常食、高脂肪・高ショ糖食を与えて、12週齢、16週齢においてNotch受容体の発現とその下流の転写因子、内臓の脂肪の増殖・分化のマーカーの発現変化をRT-PCRなどで計測する。培養前脂肪細胞3T3 preadipocyteの分化過程で同様に発現を計測する。予備実験において脂肪組織のNotch1受容体の発現は対照マウスに比してNotch1ヘテロ欠損マウスではほぼ1/2に減少していた。しかし、ホモログのNotch受容体(Notch2、Notch3、Notch4)の発現は変化しておらず、脂肪組織の増加について、Notch1受容体が重要であると考える。
マウスの繁殖が遅れてしまい、実験が進まず、予算通りに執行できず遅れが生じた。マウスの使用スペースを増やして繁殖を進め、実験個体を増やしてこの2年間で後れを取り戻していく。
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