研究課題
膵beta細胞においてATP感受性カリウムチャネル(KATP channel)はグルコースセンサーとしてインスリン分泌に必須の役割を果たす。我々は、生体内におけるインクレチン分泌機構や糖吸収を担う腸管吸収上皮細胞におけるKATP channelの役割に関してマウスを用いて検討を行った。その結果、下記の事が明らかとなった。(1)正常血糖条件下においては、KATP channelはGIP分泌に関与しない。(2)ストレプトゾトシン誘導性高血糖状況下においては、随時のGIP分泌ならびにグルコース応答性GIP分泌の増加が見られる。グルコース応答性GIP分泌に関しては一部、KATP channelが関与する。(3)正常血糖条件下においては、フルクトースは、GIP分泌をほとんど惹起しない。一方、ストレプトゾトシン誘導性高血糖状況下においては、フルクトースはグルコースと比較して少ないものの、GIP分泌を有意に増加させるが、フルクトースによるGIP分泌にKATP channelは関与しない。(4)高炭水化物の慢性摂取において十二指腸の糖輸送体であるsodium-glucose co-transporter 1(SGLT1)の発現が上昇するが、KATP channelは、SGLT1の発現制御には関与しない。KATP channel欠損マウスにおいては、野生型マウスと比較して十二指腸のSGLT1発現の上昇が見られた。今後十二指腸におけるSGLT1とKATP channelの相互連関につき検討を行う予定である。
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Diabetologia
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Journal of Diabetes Investigation
巻: 6(5) ページ: 522-6
10.1111/jdi.12356