研究課題/領域番号 |
25461339
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
濱田 洋司 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座准教授 (20293706)
|
研究分担者 |
清野 祐介 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座助教 (80534833)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | S100B / 肥満 / 糖尿病 / インスリン分泌 / インスリン抵抗性 |
研究実績の概要 |
平成26年度はS100Bホモノックアウトマウス(S100BKO)の繁殖作業を継続すると同時に、いくつかの予備実験を施行した。当初の計画に沿って、同マウスを野生型マウスとともに高脂肪食で6~12週間飼育し、体重変化を観察するとともに、空腹血糖値、経口および腹腔内ブドウ糖負荷試験、さらにインスリン負荷試験の評価を行った。その結果、S100BKOでは野生型マウスに比べ、高脂肪食負荷状態における体重増加の抑制傾向、ブドウ糖負荷時の耐糖能の改善およびインスリン分泌低下の抑制、インスリン抵抗性の改善傾向が認められた。これらの表現型の背景にある機序を明らかにするため、同マウスより膵、肝、内臓脂肪、筋肉および血液を採取し、当初の計画通りの遺伝子発現および組織学的変化につき検討中である。 現在、本実験として、各群のマウス数を増やすとともに通常食餌群も設定して再度飼育中である。予備実験の結果も参考にしたうえで、近日中に同様の負荷試験および生化学的、組織学的検討予定である。 予備実験で得られた結果は、S100B蛋白が糖エネルギー代謝に重要な役割を担っていることを示唆している。S100Bは主に神経系で炎症に関与することが知られているが、糖エネルギー代謝への関与は全く新しい知見である。現在施行中の本実験により、上記結果が確認され、その機序を明らかにすることができれば、S100Bを肥満・糖尿病の新たな治療目標分子として意義づけることができる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度の報告書に記したとおり、S100BKOマウスの繁殖に予定外の時間を要したため、現在も当初計画よりやや遅れた進捗状況である。しかし第一の目的である耐糖能に関する検討は興味深い結果が得られつつあり、期間内に必要な検討を終えられると予想している。第二の目的である糖尿病細小血管障害に対する検討については、耐糖能の検討に使用するマウスの確保が終了した段階で開始する予定であり、当初計画よりも遅延する可能性がある。
|
今後の研究の推進方策 |
マウスの繁殖速度が最も進捗に影響しているため、繁殖と予備実験に同じ個体を用いるなど、時間的に効率化を図る。具体的には通常食の雄S100BKOマウスをペアリングに用いつつ、基本的な神経機能の評価を行い、今後の糖尿病誘発群との予備的な比較に利用する。また予算の範囲内でキット類を使用し、測定の迅速化を進める。
|