本研究は糖尿病・肥満における全身の慢性炎症の新たなメディエータとして、S100B蛋白に着目したものである。S100Bノックアウトマウスを用いた検討により、高脂肪食負荷時に、S100BKO群は野生群に比べ、ブドウ糖負荷試験ではインスリン分泌の亢進と耐糖能の改善傾向、インスリン感受性の改善傾向、血清中性脂肪・レプチンの高値、肝臓の脂質・胆汁酸代謝に関連する分子の変動が見られた。 以上の結果は、S100B蛋白が糖・脂質代謝に一定の役割を担っていることを示唆しており、今後S100Bを糖尿病・脂質異常症の新たな治療目標分子として展開できる可能性がある。
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