研究実績の概要 |
GIPは, 食事摂取によって腸管K細胞から分泌されインスリン分泌を促進するインクレチンである。またGIP受容体は脂肪細胞に発現しエネルギー取り込みに関与する。しかしGIP分泌低下が耐糖能や肥満にどの程度影響するかは明らかでない。我々はGIP欠損マウスを作製し解析を行った。GIPヘテロ・ホモ欠損マウスでは野生型マウス(WT)に比較して糖負荷後のGIP分泌の50%低下、消失を認めた。通常食下の糖負荷後インスリン値はWTと比較してGIPヘテロ欠損, GIPホモ欠損で低下し, 血糖値は上昇した。高脂肪食後の体重と脂肪量はGIPホモ欠損で最も低く, GIPヘテロ欠損マウスでWTと比較して有意に低下した。また糖負荷後血糖値は3群間で差を認めないが, インスリン値はWT, GIPヘテロ, GIPホモ欠損マウスの順で低下した。インスリン感受性はGIPホモ欠損マウスで最も高く, GIPヘテロ欠損マウスでWTと比較して有意に高かった。以上から高脂肪食肥満下のGIP分泌抑制は, 耐糖能低下なしに肥満を抑制することが明らかとなった。
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