研究課題
エストロゲンは体組成や骨代謝に関与し、エストロゲン欠乏が肥満ならびに骨粗鬆症を促進することが知られている。我々は、エストロゲン欠損下のGIP分泌抑制が体重、耐糖能、骨量に及ぼす影響について検討した。6週齢雌の野生型マウス(WT)、GIP遺伝子ヘテロ欠損 (GIP+/-)、GIP遺伝子ホモ欠損マウス(GIP-/-)に卵巣摘出を行った。WTにコントロール手術を行った(Sham)。通常食負荷下に8週間の体重の推移を評価した。経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を行い、血糖値、インスリン値を測定した。デキサにて骨密度を評価した。腹部CTにて内臓および皮下脂肪量と骨密度を測定した。血中オステオカルシンとCTxを測定した。WTはShamに比較して有意な体重増加を認めた。GIP+/-はWTに比較して体重の低下を認めないが、GIP-/-は有意な低下を認めた。皮下および内臓脂肪量はGIP-/-で有意な低下を認めた。OGTT時の血糖値はShamで低い傾向にあったが、摘出マウス3群間で有意な差を認めなかった。インスリン15分値はWTで高く、他の3群で有意な差を認めなかった。軟X線による頭尾長は4群間で有意な差を認めなかった。デキサおよびCTによる骨密度は、Shamに比較して卵巣摘出術マウス3群で有意に低下したが、3群間で有意な差を認めなかった。海綿骨および皮質骨厚は、WTに比較してGIP-/-で有意な低下を認めた。オステオカルシンはWTに比較してGIP-/-で有意な低下を認めた。またCTxはGIP-/-で高い傾向を認めたが、4群間で有意な差を認めなかった。以上から野生型マウスにおいて卵巣摘出によるエストロゲン欠損は体重と脂肪量を増加させるが、GIP分泌欠損は体重と脂肪量増加を軽減した。一方でGIP分泌欠損は海綿骨および皮質骨厚の骨組成を低下させた。
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Diabetology & Metabolic Syndrome
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