研究課題/領域番号 |
25461346
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
長嶋 一昭 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40324628)
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研究分担者 |
今村 博臣 京都大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (20422545)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ATP / KATPチャネル / 糖代謝異常 |
研究概要 |
本研究は、新規蛍光ATPプローブを基に、同プローブ遺伝子導入マウス、さらには肥満糖尿病モデルマウスとの交配による蛍光ATPプローブ遺伝子導入疾患モデルマウスを用いて生細胞のまま生理的条件下で、経時的かつリアルタイムに解析し、細胞内糖代謝と糖代謝異常の病態形成機序との関わりの実際を検証・解明することを目的とする。 (研究成果の具体的内容)当初の研究計画に沿って、今村(研究分担者)らが開発した蛍光ATPプローブ(Proc Nat Acad Sci USA, 2009)を改良した高Kd値を示す蛍光ATPプローブ(GO-ATeam)遺伝子を導入した蛍光ATPプローブ遺伝子導入マウス(GO-ATeamTg)を作製し、耐糖能評価を行い、細胞内ATP濃度およびCa2+濃度のリアルタイム同時測定系を確立し測定を行った。さらに病的状態(糖尿病状態)における膵β細胞内ATP濃度およびCa2+濃度動態を解明するために肥満糖尿病ob/obマウスとGO-ATeamTgを掛け合わせ、解析実験に用いる蛍光ATPプローブ導入肥満糖尿病マウスの個体数を増やしている。また、グルコース刺激による膵β細胞内ATP濃度およびCa2+濃度動態に関するin vitro実験を行いでは、native膵β細胞(マウス)および膵β細胞株にGO-ATeamをLipofectionしグルコース刺激による細胞内ATP動態およびCa2+濃度動態の時間的相互関係を明らかにし報告した(J Biol Chem. 289:2205-2216, 2014)。 (本研究結果の意義)簡便に生細胞のままβ細胞内ATP動態を鋭敏な反応性と十分なATP測定レンジをもって測定できる蛍光プローブは我々の新規蛍光ATPプローブ(GO-ATeam)だけであり、同プローブを膵β細胞に発現し極めて生理学的な条件下で生細胞のまま観察・解析可能であるGO-ATeam Tgマウスを用いてその糖代謝動態を検討することは、糖代謝関連疾患理解に極めて有益である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り、新規蛍光ATPプローブ導入肥満糖尿病マウスを作成し、耐糖能評価を行い、細胞内ATP濃度およびCa2+濃度のリアルタイム同時測定系を確立し測定を行った。さらに糖尿病状態での膵β細胞内ATP濃度およびCa2+濃度動態を解明するために肥満糖尿病ob/obマウスとGO-ATeamTgを掛け合わせ、解析実験に用いる蛍光ATPプローブ導入肥満糖尿病マウスを作成しており、一方で、これまで継続的に解析進めてきたin vitroでのグルコース刺激による細胞内ATPおよびCa2+濃度動態を詳細に解析し成果を論文発表した。以上より、本研究は当初の研究計画に沿って順調に進行していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通り、新規蛍光ATPプローブ導入肥満糖尿病マウスを増やし、病的状態(糖尿病状態)での細胞内ATPおよびCa2+濃度動態を生理的条件下で解析進め、病態発症メカニズムの解明および創薬基盤となり得る知見の集積を目指す。本研究で得られた成果を国内外の学会および欧米学術誌上で発表するとともに教室ホームページ等にも掲載し広く成果を公表する。
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