研究課題/領域番号 |
25461347
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
野口 倫生 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00432394)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 多能性幹細胞 / 脂肪萎縮症 / 肥満症 |
研究概要 |
1効率的なヒトiPS細胞からの脂肪細胞分化誘導法の確立 申請者らはこれまで胚様体(EB)形成を介する分化誘導法にてヒトiPS細胞がヒトES細胞に相当する脂肪細胞への分化能をもつことを報告した(FEBS Letters 2009)。またヒトiPS・ES細胞由来脂肪細胞はインスリン応答性や脂肪分解能を有し、皮下移植にて生着・維持することを示した(Stem Cells Dev 2013)。ヒトiPS細胞由来脂肪細胞の機能解析及び細胞治療には脂肪細胞の純化と分化効率の改善が大きな課題である。申請者らはこれまでの報告を基にヒトiPS・ES細胞由来間葉系前駆細胞を誘導した。これらの細胞は軟骨細胞への分化能は有したが脂肪細胞への分化能はほとんど有さなかった。細胞表面マーカーを解析したところ、骨髄由来間葉系幹細胞と比較してCD90は同様に高発現を示したが、CD73, CD105は低発現であった。高い脂肪細胞分化能を有する前駆細胞への分化誘導条件の改善が必須である。 2脂肪萎縮症患者からの疾患特異的iPS細胞作製と脂肪細胞分化誘導 京都大学医学研究科・医学部医の倫理委員会からの承認を得て、先天性脂肪萎縮症患者5例と後天性脂肪萎縮症患者2例と部分性脂肪萎縮症患者1例から疾患特異的iPS細胞の樹立を行った。さらにエピゾーマルベクターを用いた疾患特異的iPS細胞の樹立も行った。続いて上記のEB形成を介する分化誘導法で解析を行うとBSCL2遺伝子異常を有する脂肪萎縮症患者由来iPS細胞は健常人由来iPS細胞と比較して著明な脂肪蓄積の低下を認めた。またLMNA遺伝子異常を有する脂肪萎縮症患者由来iPS細胞は健常人由来iPS細胞と比較して脂肪蓄積に差は認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒトiPS・ES細胞由来脂肪細胞はインスリン応答性や脂肪分解能を有し、皮下移植にて生着・維持しうることを示した(Stem Cells Dev 2013)。ヒトiPS細胞由来脂肪細胞の機能解析及び細胞治療には脂肪細胞の純化と分化効率の改善が大きな課題であり、申請者らはこれまでの報告を基にヒトiPS・ES細胞由来間葉系前駆細胞を誘導した。これらの細胞は軟骨細胞への分化能は有したが脂肪細胞への分化能はほとんど有さなかった。今後も継続して高い脂肪細胞分化能を有する前駆細胞への分化誘導条件の改善が必須である。 脂肪萎縮症患者由来iPS細胞の樹立に関してはゲノムに取り込まれないことで造腫瘍性の懸念が少ないエピゾーマルベクターを用いた疾患特異的iPS細胞の樹立も行った。さらに上記の分化誘導法で解析を行うとBSCL2遺伝子異常を有する脂肪萎縮症患者由来iPS細胞は健常人由来iPS細胞と比較して著明な脂肪蓄積の低下を認めた。またLMNA遺伝子異常を有する脂肪萎縮症患者由来iPS細胞は健常人由来iPS細胞と比較して脂肪蓄積に差は認めなかった。
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今後の研究の推進方策 |
細胞系譜特異的な脂肪細胞分化誘導法の開発 安定した脂肪細胞機能解析のためには前駆脂肪細胞の単離などのプロセスが必要となる。発生学的には脂肪細胞は中胚葉・間葉系の細胞であり、その由来は沿軸中胚葉と考えられている。我々はヒト多能性幹細胞からヒトiPS細胞由来間葉系前駆細胞 (Methods Mol Biol. 2011)を誘導し、CD29, CD34, CD73, CD90, CD105, CD140a, CD166 などの表面マーカーの解析を行い、脂肪細胞分化能に関して検討を行ったが、効率的な脂肪細胞分化は認められなかった。適切な表面マーカー陽性細胞集団を単離し、検討を行う予定としている。上記の方法で分化誘導が困難な場合はヒトiPS細胞由来間葉系前駆細胞にPPARG2やC/EBPB+PRDM16の遺伝子の導入を行うことにより白色脂肪細胞、褐色脂肪細胞の作製を試みる予定である。 脂肪萎縮症の病因・病態の解明 BSCL2遺伝子異常を有する脂肪萎縮症の脂肪蓄積の低下の病因を明らかにするため、採取した線維芽細胞や樹立したiPS細胞あるいは分化誘導後の細胞を用いた解析を行う。さらに脂肪萎縮症モデルラットを用いて病因・病態の解析を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
申請者の所属・職位の変更に伴い、研究計画の遂行に必要なヒトES細胞の使用に関して、新たな施設で使用するための使用計画の追加・変更申請を行う必要があり、京都大学大学院医学研究科・医学部及び医学部附属病院「医の倫理委員会」に申請を行い、承認されるのに時間要したこと。その他、研究施設変更等により脂肪萎縮症モデル動物の繁殖が悪く、解析に必要な数を確保することが難しい状況が続いたため。 研究計画の追加変更申請に関して倫理委員会の承認を得たため、当初の計画通りにiPS・ES細胞の培養、研究を遂行する予定である。細胞系譜特異的な脂肪細胞分化誘導法の開発と新たな脂肪萎縮症モデル動物を連携研究者からの供与を受け、繁殖と解析を進める予定である。物品費(培養用血清、分子生物学試薬等)として898,668円、その他動物飼育費等として300,000円と算定している。
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