研究課題
脂肪萎縮症患者からの疾患特異的iPS細胞作製と脂肪細胞分化誘導BSCL2遺伝子異常を有する脂肪萎縮症iPS細胞(2例)は脂肪細胞分化誘導により健常者由来のiPS細胞と比較し著明な脂肪蓄積の低下を認め、脂肪細胞関連遺伝子の発現低下を認めた。さらにBSCL2遺伝子異常を有する脂肪萎縮症iPS細胞にBSCL2遺伝子を過剰発現させると脂肪蓄積の低下が回復した(Metabolism 2016)。さらに1例のBSCL2遺伝子異常を有する患者由来iPS細胞を導入遺伝子がゲノムに取り込まれないエピゾーマルベクター法で作成し、解析を行った。上記2例と同様に脂肪細胞分化誘導で著明な脂肪蓄積の低下を認めた。BSCL2遺伝子異常を有する脂肪萎縮症iPS細胞は脂肪萎縮症の病態を再現し、病態解明の有用なツールとなりうることが明らかとなった。脂肪萎縮症の病因・病態の解明から脂肪萎縮症・肥満症の治療法の開発全身性脂肪萎縮症は全身の脂肪組織の消失により著明な高血糖、インスリン抵抗性、高中性脂肪血症、脂肪肝を呈する疾患であり生命予後不良な難治性疾患である。セイピンをコードするBSCL2遺伝子は先天性全身性脂肪萎縮症の原因遺伝子の一つであるがその機能は十分に明らかにされていない。我々はセイピンノックアウト(SKO)ラットを作製し、このモデル動物はヒト脂肪萎縮症と同様に高血糖、インスリン抵抗性、高中性脂肪血症、脂肪肝を呈した。SKOラットの残存脂肪組織が存在し、組織学的な解析や間質血管分画(SVF)の初代培養にて脂肪細胞分化を検討した。SKOラット由来SVFは野生型由来SVFと比較して著明な脂肪細胞分化障害及び脂肪蓄積障害をきたした。マイクロアレイで網羅的遺伝子解析を行うと分化誘導後8日において脂肪細胞関連遺伝子群の発現低下が認められた。SKOラットを用いて脂肪蓄積障害の分子基盤を明らかにした。
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Neuropeptides
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doi: 10.1016/j.npep.2017.04.004.