研究課題/領域番号 |
25461349
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
片上 直人 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座助教 (10403049)
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研究分担者 |
松岡 孝昭 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10379258)
安田 哲行 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30448055)
金藤 秀明 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80448034)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 糖尿病 / 糖尿病大血管症 / 心血管疾患 / 頸動脈エコー / IMT / 遺伝子多型 |
研究概要 |
本年度の主たる研究実績は以下である。 【背景・目的】心血管疾患(cardiovascular disease;CVD)は糖尿病の重大な合併症である。エコーで評価した頚動脈プラークは、プラーク厚、組織性状ともにCVDの予測因子となることが報告されている。しかしながら、2型糖尿病患者における頚動脈プラーク組織性状評価の有用性を示した報告は少なく、CVDの予測能に及ぼす影響も明らかにされていない。2型糖尿病患者において、Gray-scale median (GSM)で評価した頚動脈プラークの組織性状と心血管イベントとの関連を調査した。 【方法】CVDの既往がない40歳以上の2型糖尿病患者に頚動脈エコー検査を施行し、頚動脈にプラーク病変を認めた287例を対象とし、CVDの発症について追跡調査を行った。 【結果】中央観察期間55カ月で、34例にCVDの新規発症を認めた。CVDを発症した群では有意にGSMが低く(38±16 vs. 51±17、p<0.001)、Cox回帰分析の結果、低輝度プラークは他の因子で補正しても、プラーク厚とともにCVDの独立した予測因子として抽出された[HR 4.77(2.25-10.13)、p<0.001]。Time-dependent ROC曲線解析の結果、Framingham risk score (FRS)とプラーク厚に低輝度プラークを付加すると、予測能はAUC0.73から0.82と有意に向上した(p<0.05)。 【総括】本検討の結果、CVDの既往がない2型糖尿病患者において、頸動脈低輝度プラークの存在はCVDの独立した予測因子となること、FRSやプラーク厚に低輝度プラークの有無を付加することでCVDの予測能が向上することが明らかとなった。2型糖尿病患者において、GSMによる頚動脈プラーク組織性状の評価はCVDのハイリスク患者抽出に有用であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データの取得はほぼ順調に進んでおり、中間解析でも想定範囲内の結果が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、既に収集済みのデータを用いた中間解析の結果、エコーで非侵襲的に評価した頸動脈の動脈硬化度の指標が心血管疾患発症ハイリスク群の予測指標となることを示唆するデータを得た。今後は、全より多数例を対象とした解析を行うことによって、仮説の検証に努めたい。 また、現在、100種を超える遺伝子多型と糖尿病大血管症との関連を解析中であり、来年度中に横断的解析の結果をまとめる予定である。さらに、引き続き前向き観察を続け、データを収集していく予定である。
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