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2014 年度 実施状況報告書

ヒト膵組織切片分析による2型糖尿病発症過程の膵島形態学的モデルの構築

研究課題

研究課題/領域番号 25461350
研究機関大阪大学

研究代表者

小澤 純二  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80513001)

研究分担者 今川 彰久  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80373108)
岩橋 博見  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60397627)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード膵島組織 / 2型糖尿病 / インスリン分泌能 / インスリン抵抗性
研究実績の概要

本研究は、2型糖尿病の主要な病態であるインスリン分泌不全およびインスリン抵抗性と膵島の形態学的所見との関連を明らかにし、病期・病態に応じた治療戦略構築の組織学的な基盤を形成することである。このため当院外科膵切除症例を対象に耐糖能分類を行ったのち、切除膵切片を用いて膵β細胞とインスリン分泌能、膵α細胞とインスリン抵抗性の関係に焦点をあてて検討を進めていく。
平成25年度は約70名の対象患者の選定・登録およびこれら患者の耐糖能分類を行った。すでに当研究室では2型糖尿病発症過程で膵β細胞面積が減少することを明らかにしており(Yoneda S, et al. J Clin Endocrinol Metab, 2013)、平成26年度には同膵β細胞面積がインスリン分泌能の指標と相関すること、なかでもグルカゴン負荷試験による血中Cペプチドの増加分と強く正相関することを新たに論文報告した(Fujita Y, et al. Endocr J, 2015)。これにより2型糖尿病発症に関わる膵β細胞面積の減少が簡便な日常臨床検査で予測可能であることが明らかとなった。平成26年度はさらに膵α細胞の組織学的解析および病態との関連を検討し、長期経過2型糖尿病では膵α細胞面積が増加し、同面積は血糖コントロール(HbA1c)と関連すること、膵α細胞面積増加の機序の一つに膵α細胞の増殖促進がみられることを明らかにして、第57回日本糖尿病学会学術総会(大阪)にて発表している。
現在、膵α、β細胞の組織学的変化の成因解明をさらに進めるため、各種膵島関連転写因子の発現解析を行うとともに、膵α、β細胞株、幹細胞(iPS細胞を含む)を用いた細胞実験系の構築を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2型糖尿病発症過程における膵α・β細胞の形態学的変化が明らかとなり、本研究の主要目的である膵島形態学的モデル構築の基礎骨格が形成された。さらに膵β細胞の形態学的変化について、糖尿病発症の主要病態の一つであるインスリン分泌能低下との関連が明らかとなり論文化が達成された(Fujita Y, et al. Endocrine Journal, 2015)。膵α細胞の形態学的変化に関する結果については第56、57回日本糖尿病学会学術集会において発表を行い、社会および国民に対して発信している。よって本研究はおおむね順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

2型糖尿病発症過程における膵α細胞の形態学的変化に関わる結果を論文化する。これまで明らかにした膵島の形態学的変化に関わる成因・機序をより詳細に検討するため、各耐糖能の膵α、β細胞における膵島関連転写因子の発現様式を組織学的に検討する。同発現様式に変化をみとめた因子を膵α、β細胞株、幹細胞(iPS細胞含む)に強制発現あるいはノックダウンを行うことで、増殖、アポトーシス、分化誘導がみられるか、 in vitro にて検討する。
これらの作業は引き続き研究代表者のもと大学院生、ポスドクを組織し計画を推進する。研究成果についても引き続き学会発表、論文掲載などを通じて社会に発信していく。

次年度使用額が生じた理由

平成25年度は症例登録が中心であったため形態学的検討のために必要な試薬、抗体など消耗品の購入が当初予定に比べて少なかった。しかしながら平成26年度はこれら検討を中心として行ったため消耗品の購入が予定通り行われている。

次年度使用額の使用計画

2型糖尿病発症過程における膵島形態学的変化の成因・機序をより詳細に検討するため、各耐糖能の膵α、β細胞における膵島関連転写因子の発現様式を組織学的に検討する。このためこれら転写因子に対する免疫染色用の抗体の購入を行う。さらに in vitro の系を用いてこれら転写因子による膵α、β細胞の増殖、アポトーシス、分化誘導を検討するため、膵α、β細胞株、幹細胞(iPS細胞含む)などの購入、増殖、アポトーシス各検出キット、分化誘導・細胞維持に要する試薬等(培地を含む)の購入、各種膵島ホルモン染色用抗体などの購入を行っていく予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Increment of serum C-peptide measured by glucagon test closely correlates with human relative beta-cell area.2015

    • 著者名/発表者名
      Fujita Y, Kozawa J, Iwahashi H, Imagawa A, et al.
    • 雑誌名

      Endocrine Journal

      巻: 62 ページ: 329-337

    • DOI

      http://doi.org/10.1507/endocrj.EJ14-0456

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 耐糖能悪化過程におけるヒト膵島の形態学的特徴-α細胞に着目した検討-第2報2015

    • 著者名/発表者名
      藤田有可里、小澤純二、岩橋博見、今川彰久他
    • 学会等名
      第58回日本糖尿病学会学術総会
    • 発表場所
      山口
    • 年月日
      2015-05-21 – 2015-05-24
  • [学会発表] 耐糖能悪化過程におけるヒト膵島の形態学的特徴-α細胞に着目した検討-2014

    • 著者名/発表者名
      藤田有可里、小澤純二、岩橋博見、今川彰久他
    • 学会等名
      第57回日本糖尿病学会学術総会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2014-05-22 – 2014-05-24

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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