研究課題
最終年度は、プロリン異性化酵素Pin1とAMPK機能制御について引き続き解析を行った。Pin1はAMPKgamma1のみならず、AMPKgamma2やAMPKgamma3とも結合すること、またPin1と両者との結合には、複数のpSer/pThr-Pro配列が必要であることを明らかにした。また、Pin1によるAMPKリン酸化抑制機構として、①AMPは、LKB1によるAMPKリン酸化を促進するが、その作用を解除すること②AMPは、PP2CによるAMPK脱リン酸化を抑制するが、Pin1はその保護機構をキャンセルする ことを明らかにした。また、複数のPin1阻害剤がAMPKのリン酸化を促進することも明らかにした。さらに、肥満発症に関する新規Pin1結合蛋白の同定を試みたところ、脂肪合成や脂肪分解に関わる複数の新規結合蛋白の同定に成功した。また、前年度に引き続き膵β細胞特異的Pin1 KOマウスの解析を行った。野生型マウスおよびβ細胞特異的Pin1 KOマウスに高脂肪高スクロース食を20週間負荷したのち、膵島の形態を解析した。特別食負荷後の両群のマウスの体重に差は認められなかったが、膵島の面積は野生型に比較してKOマウスの方が有意に小さかった。β細胞の細胞死の割合は、両群で差は認められなかったが、細胞増殖率はKOマウスの方で有意に低かった。脂肪特異的Pin1 KOマウスを作製し、高脂肪食負荷したところ、KOマウスは野生型マウスと比較して体重の増加が経度であることが明らかとなった。さらに、熱産生への影響を検討したところ、KOマウスの方が熱産生関連遺伝子の発現量が高いことが明らかとなった。
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J. Biol. Chem.
巻: 290 ページ: 24255-24266
10.1074