研究課題/領域番号 |
25461356
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
福田 尚文 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (50566867)
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研究分担者 |
谷澤 幸生 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00217142)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | GLUT4 / DOC2b / PKC |
研究概要 |
1.DOC2bリン酸化シグナルを解明する。培養細胞の検討からDOC2bが細胞膜でカルシウムセンサー蛋白として働くためには、DOC2bのN端にあるMID domainがリン酸化を受ける必要があると考えられる。我々はインスリンシグナルの下流に存在するDOC2bリン酸化シグナルについて解明する試みを行った。 (1)DOC2bのリン酸化部位を同定 DOC2b MID domainのデータベースを基に候補となるセリン残基に変異を加えた変異体を作製し野生型と比較検討した結果、DOC2b MID domainのセリン残基がインスリン刺激によって特異的にリン酸化されることを確認した。またその変異体を培養細胞に発現させるとDOC2bの細胞膜融合させる作用が消失するため、このリン酸化はDOC2bの機能を果たすために必要であることがわかった。 (2)DOC2bリン酸化シグナルの上流因子を同定した。 次にDOC2b MID domainのリン酸化モチーフより上流因子としてセリン・スレオニンキナーゼを想定し、候補となったPKC ファミリーとDOC2bの免疫沈降実験を行った。その結果、PKCの一つが、DOC2bとインスリン存在下で特異的に結合した。よってインスリン存在下でPKCがDOC2bをリン酸化することがわかった。これらの結果から目的としていたインスリンによるDOC2bリン酸化シグナルの重要な部分は解明できたと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画書で設定した平成25年度の実験計画の(1)DOC2bのリン酸化部位を同定する。についてはDOC2b MID domainのデータベースを基に候補となるセリン残基に変異を加えた変異体を作製し、DOC2bリン酸化抗体で認識するかを検討し、特異的なセリン残基がリン酸化されることを確認できた。(2)DOC2bリン酸化シグナルの上流因子を同定する。についてもPKCとDOC2bの免疫沈降実験で結合を確認できたので、DOC2bリン酸化シグナルを解明するという目的は概ね果たせたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
DOC2bリン酸化による細胞膜融合の可視化と細胞膜融合促進因子の検討。 DOC2bリン酸化が細胞膜融合に与える影響を全反射蛍光(TIRF)顕微鏡で観察する。Glut4小胞内存在するIRAP (insulin-regulated aminopeptidase)にpHluorin (pH sensitive GFP tag) をつけたコンストラクトを脂肪細胞に過剰発現させ、Glut4小胞が細胞膜融合すると、小胞内のpHが変化し、pHluorinが発色し、それをTIRF顕微鏡で観察する方法が開発された(M Jennine et al, PLOS ONE 2012)。この手法を用いてインスリン刺激下でGlut4小胞の細胞膜融合を経時的かつ定量的に観察できる方法を確立する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今回平成25年度に計画していた実験が順調に進展したことから、当初予定していた実験試薬や消耗品等を低額に抑えることができたため次年度使用額が生じた。 次年度、培養細胞の継代やウイルス作成、動物飼育費と併せて使用する。
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