研究課題
本研究では、肥満症において一旦減量に成功した後のリバウンド期において、間欠的低酸素曝露や、各種生活習慣病治療薬が、脂肪組織機能、インスリン抵抗性および、心血管系合併症に及ぼす影響、およびその機序を前臨床実験により明らかにすることを目的としている。25年度には、ω3系多価不飽和脂肪酸(エイコサペンタエン酸)がω6系(アラキドン酸)に比べて、脂肪細胞に対してより好ましい効果(アディポネクチンの産生促進、インターロイキン6(IL-6)の産生抑制)を示すことを明らかにした。26年度には、脂肪細胞のVEGF-Aの発現を調べる他のプロジェクトとの共同で、その機序が細胞膜上のGRP120を介する細胞内情報伝達系と、核内受容体型転写因子であるPPAR-γへの直接の結合によって発揮することが示唆された(論文掲載済み)。このため、本プロジェクトにおいては、GPR120の合成リガンドであるGSK13746の効果を調べたところ、成熟脂肪細胞において、用量依存的にIL-6およびMCP-1の転写および培養液中への放出を抑制することが明らかになり、EPAによる脂肪細胞の活性化にはGPR120刺激が関与することが示唆された。他にエゼチミブの脂肪細胞に対する効果についても検討中である。このように、26年度においては培養脂肪細胞系を用いて、生活習慣病治療薬であるエイコサペントエン酸(EPA)のGPP120のアゴニズムのアディポカイン産生パタンに及ぼす影響、細胞内コレステロール移送に影響するエゼミチブが脂肪細胞においても一定の薬理効果を発現するかを確認するプロコトールに着手した。27年度においてこのEPAが血管内皮由来増殖因子(VEGF)-A、GPR120及びILEのPPARrを介して、up-regulateすることを明らかにした。
すべて 2015
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Mol Cell Endocrinol
巻: 406 ページ: 10-8
10.1016