研究課題/領域番号 |
25461360
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
本島 寛之 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (40398201)
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研究分担者 |
松村 剛 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (20398192)
西川 武志 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 特任教授 (70336212)
近藤 龍也 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 助教 (70398204)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | メタボリックシンドローム / インスリン抵抗性 / 2型糖尿病発症 |
研究実績の概要 |
昨年度は高脂肪/高スクロース食負荷C57BL6マウスおよびゴールドチオグルコース(GTG)誘導性過食マウスにおいて内臓脂肪組織におけるADAM-8 mRNA発現の上昇を確認したが、本年度はもう1つのTNF受容体切断酵素である①ADAM-17の発現が上昇しているのか、②糖尿病治療がADA-8およびADAM-17を減少させるのか、③脂肪組織におけるいかなる細胞においてADAM-8が上昇しているのかを検討した。 ①ADAM-17は、両肥満マウスモデルにおいて対照マウスと比較して3~12倍発現が上昇していた。 ②チアゾリジン誘導体の1つピオグリタゾン投与がADA-8およびADAM-17を有意に減少させた。 ③ADAM-8発現は、脂肪細胞画分よりもstromal-vascular画分において発現が10倍以上上昇していた。 ④変異型ADAM-8 cDNA(E330→Q変異)を発現プラスミドにサブクローニングした。 以上の結果より、肥満は内臓脂肪組織におけるTNF受容体切断酵素ADAM-8およびADAM-17を増加させること、ピオグリタゾン投与がADA-8およびADAM-17を減少させること、ADAM-8発現は脂肪細胞上でなくマクロファージ等の炎症細胞において発現上昇する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
変異型ADAM-8 cDNA(E330→Q変異)の作成に思いのほか時間がかかり、ADAM-8によるTNF受容体切断活性が証明できなかった。また、脂肪細胞におけるADAM-8発現上昇がわずかであるという予想外の結果が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
ADAM-8発現が脂肪細胞画分よりもstromal-vascular画分において発現上昇することが判明したが、脂肪細胞上でわずかに発現上昇するADAM-8がTNF受容体を切断しているのか、マクロファージ等の別の細胞に発現するADAM-8が脂肪細胞上のTNF受容体を切断しているのかを鑑別する必要が生じている。④に記載した変異型ADAM-8 cDNA発現プラスミドを用いた実験は、ADAM-8を単純に脂肪細胞に強制発現させるだけの実験から、マクロファージ系細胞にもADAM-8を強制発現させ、脂肪細胞と共培養する実験系を行う必要がある。培養細胞を用いた実験系を修正してADAM-8およびADAM-17によるTNF受容体切断活性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度実施予定であった大腸菌BL21 (Rosetta-gami B株)を用いた可溶性ADAM-8蛋白精製実験が、変異型ADAM-8 cDNAコンストラクト作成が遅延したため実施できなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度には上記した可溶性ADAM-8蛋白を精製し、精製した可溶性ADAM-8分子(正常型および変異型)による脂肪細胞上のTNF受容体切断実験を行う予定である。今回生じた「次年度使用額」は、その際の必要物品購入に充てる予定としている。
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