研究課題/領域番号 |
25461368
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
廣峰 義久 近畿大学, 医学部, 講師 (30460851)
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研究分担者 |
馬場谷 成 近畿大学, 医学部, 講師 (10449837)
池上 博司 近畿大学, 医学部, 教授 (20221062)
川畑 由美子 近畿大学, 医学部, 准教授 (80423185)
能宗 伸輔 近畿大学, 医学部, 講師 (90460849)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 1型糖尿病 / 臓器特異的自己免疫疾患 / 関連解析 / コンジェニックマウス |
研究概要 |
自己免疫性甲状腺疾患(AITD)患者のHLAクラスII領域とクラスI領域のタイピングを行い、日本人において、両領域がAITD感受性に及ぼす影響を検討した。クラスII領域ではDRB1*08:03(14.4% vs 7.6%, Pc<0.01)とDRB1*08:03-DQB1*06:01(14.2% vs 7.3%, Pc<0.01)が、クラスI領域ではB*35:01(13.2% vs 6.8%, Pc=0.04),C*03:03(17.4% vs 8.1%, Pc<0.01),B*35:01-C*03:03(11.9% vs 4.7%, Pc<0.0001)がAITD疾患感受性を有することが示された。また、クラスII領域のDRB1*01:01(2.3% vs 8.8%, Pc<0.0001)とDRB1*01:01-DQB1*05:01(2.3% vs 8.8%, Pc<0.0001)、クラスI領域のB*07:02(1.6% vs 6.8%, Pc<0.01)とB*07:02-C*07:02(1.6% vs 6.6%, Pc=0.02)が疾患抵抗性を有することが示された。この結果は、1型糖尿病に関連するHLAクラスII領域とクラスI領域遺伝子が、自己免疫性甲状腺疾患にも関連することを示し、自己免疫疾患の臓器特異性に関する情報を得た。 β細胞特異性に関連する遺伝子であるMAFA遺伝子において、国内国外との多施設共同研究を行ない、アミノ酸変異を伴うMAFAGly346Cys多型が日本人において有意な関連を示すことを証明した(1.6% vs 6.6%, P=0.02)。欧米人においては有意な関連を認めなかった。インスリン遺伝子と相互作用を示すことも証明したことから、MAFA遺伝子が臓器特異性に関与することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度に、新たな1型糖尿病疾患感受性遺伝子の同定を研究計画していたが、MAFA遺伝子において、国内国外との多施設共同研究を行ない、アミノ酸変異を伴うMAFAGly346Cys多型が日本人において有意な関連を示すことを証明した。MAFA遺伝子とインスリン遺伝子との相互作用も示されたことから、MAFA遺伝子が1型糖尿病の臓器特異性に関与することが示された。また、1型糖尿病疾患感受性遺伝子における免疫調節機能の解明には、1型糖尿病および他の自己免疫疾患の情報が必要であることから、他の臓器特異的自己免疫疾患についても研究を進めた。HLAクラスII領域を免疫制御に関与する面と臓器特異性に関与する面に分割して、クラスI領域が、自己免疫性甲状腺疾患にも関連すること、関連を示すハプロタイプが1型糖尿病とは異なることを示した。これらの結果により、遺伝子と自己免疫疾患の関わりがより明確になり、遺伝子と免疫調節機能の解明につながるものと考えられた。 総合的にはおおむね順調に進展していると評価している。
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今後の研究の推進方策 |
新たな1型糖尿病疾患感受性遺伝子の同定について、現在進行中の日本人GWAS(genome-wide association study)解析(当教室が解析チームリーダー)で関連が示唆されている遺伝子群と欧米のGWASで関連の証明された遺伝子群について、候補遺伝子とし解析を進める。 日本人の1型糖尿病患者において有意な関連を確認できたMAFA遺伝子については、ヒトにおいては、健常者・1型糖尿病患者・他の自己免疫疾患患者の末梢血サンプルを用いて、メタボローム解析・免疫機能解析・1型糖尿病のバイオマーカーの探索を行う。それには、新たな健常者・1型糖尿病患者・他の自己免疫疾患患者のDNAサンプルと末梢血サンプルが必要であり、収集も行っていく。 また、マウスを使用した機能解析も行う。MAFA遺伝子のノックアウトマウスの背景遺伝子を、1型糖尿病モデルマウスであるNODマウスにスピードコンジュニックの手法を用いて置換していく。置換したマウスの糖尿病発症率、膵組織のH-E染色標本を用いての膵島炎の評価、自己免疫に関連する他の組織収集(脾臓、唾液腺、甲状腺、胸腺)を行い、in vivoにおいて同遺伝子の役割を解明し、本研究を完遂する。
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次年度の研究費の使用計画 |
新たな1型糖尿病疾患感受性遺伝子の同定のために使用する予定だが、候補遺伝子解析に要する、プライマー、Taqポリメラーゼなどの実験試薬の購入費用が安価にすんだ。 候補遺伝子解析に要する、プライマー、Taqポリメラーゼなどの実験試薬の購入費用、および、免疫機能解析に要する抗体などの実験試薬の購入費用、に使用する予定である。
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