研究課題
(1) ステロールセンサーSCAPの量的制御のメカニズムについて引き続き検討を行った。糖尿病状態の脳でAMPK活性が上昇していることに着目し、初代培養グリア細胞を用いて種々のAMPK活性刺激(AICAR、メトホルミン、2-DG)を加えたところ、AICAR刺激において、刺激後およそ6時間で初代培養グリア細胞のSCAPタンパク量が減少し、24時間時点において顕著な減少を認めた。プロテアソーム阻害剤MG132やSCAPの細胞内輸送を阻害するFatostatinの前処理によって、AICAR刺激によるSCAP減少は抑制された。S1P阻害薬によるSCAPの減少も同様にMG132、 Fatostatinの前処理によって抑制された。AICAR刺激において、AMPKの活性化によるプロテアソーム系の分解がSCAPの減少に関わっており、AICARによるSCAPの分解には一旦小胞体から外に輸送される必要があると考えられる。S1P阻害によるSCAPの減少においても、プロテアソーム系が関わっており、SCAPの量制御においてプロテアソームは重要であると考えられる。(2) ドイツKirchhoff研から分与されたGFAP-CreERT2マウスとSCAP floxマウスを交配し、アストロサイト特異的誘導型SCAP欠損マウスを作成した。本マウスモデルでは、成長後にタモキシフェンを投与しSCAP欠損を誘導することで、発生段階での影響を除外することができる。種々の行動実験を実施し、本マウスのアストロサイトにおけるSCAP欠損誘導後の行動異常について興味深い表現型を確認している。(3) SREBP-2 floxマウスを神戸理研との共同開発により作製した。引き続き系統樹立を進めている。
2: おおむね順調に進展している
複数の組織特異的欠損マウスの作製および解析に向けて進展している。
作製したマウスの表現型の評価を通じて、糖尿病状態での脳におけるSCAPおよびSREBP-2減少に関する解析を進める。さらに、リピドミクスでの網羅的解析を進捗させる。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件)
Molecular Metabolism
巻: 4 ページ: 144-150
10.1016/j.molmet.2014.11.003
Molecular and Cellular Biology
巻: 34 ページ: 1290-1299
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http://dm301k.umin.jp/index.html