糖尿病において、認知機能低下をはじめとするさまざまな中枢神経系障害のリスクが上昇するメカニズムとして、脳内ステロール代謝異常に注目した。糖尿病マウスの脳ではインスリン作用低下の結果コレステロール合成が低下し、さらにステロール含量を感知する分子SCAPが減少している。脳全体でSCAPを減少させたマウスは記憶能力が低下している。糖尿病の脳の状態を模倣するAMPK活性化刺激で、脳グリア細胞のSCAPが減少することを見出した。さらに、グリア細胞の一種であるアストロサイトでSCAPを欠損させると、長期記憶の障害と社会認識能力の障害をきたすことを見出した。
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