研究課題
本年度は,cPLA2α欠損/apoE欠損マウスにおける動脈硬化進展抑制効果を検討する目的で,以下の検討を行った。①cPLA2α欠損マウスをapoE欠損マウスと交配させ,cPLA2α欠損/apoE欠損マウスを作成した。②このマウスに(8週齢)に対し,高コレステロール食付加を6週間施行し,上下行大動脈組織と大動脈洞部(大動脈弁上部)組織を採取した。③上下行大動脈組織に対し,大動脈を切開・展開したのちにホルマリン固定を行い,Oil-Red-O染色を施行,粥状動脈硬化巣の進展度をマクロで観察したところ,コントロールのapoE欠損マウスに比し,cPLA2α欠損/apoE欠損マウスでは,動脈硬化症の進展抑制効果を認めた。以上の結果から,cPLA2αの遺伝的発現抑制は,動脈硬化進展に対し抑制効果を発揮する可能性が考えられた。
3: やや遅れている
cPLA2α欠損マウスとapoE欠損マウスを掛け合わせたcPLA2α欠損/apoE欠損マウスの作成に思いのほか時間がかかり,実際に高コレステロール食負荷したマウスから大動脈組織回収に至るまでにかなりの遅れを生じたため,計画書内で勧める予定であったマウス大動脈洞部(大動脈弁上部)での動脈硬化進展抑制効果の検討や,同組織での動脈硬化惹起因子発現の評価が期間内に出来なかった。
平成26年度までで遂行予定であった,マウス大動脈洞部(大動脈弁上部)での動脈硬化進展抑制効果の検討や,同組織でのTNF-α、MCP-1、ABCA1、ABCG1発現量への影響をReal-time RT-PCR法及び免疫組織染色法にて解析する予定である。また,骨髄移植によるマクロファージ特異的cPLA2α欠損/apoE欠損マウスを作成し,そのマウスでの上下行大動脈組織およびマウス大動脈洞部の動脈硬化進展への影響,PPARγ転写活性への影響,さらにTNF-α、MCP-1、ABCA1、ABCG1発現量への影響をReal-time RT-PCR法及び免疫組織染色法にて解析する予定である。
平成26年度はcPLA2α欠損/apoE欠損マウスにおける動脈硬化進展抑制効果を検討する目的であったが,当初の計画にあったのあった,①マウス大動脈洞部(大動脈弁上部)での動脈硬化進展の評価,と②TNF-alpha、MCP-1、ABCA1、ABCG1発現の評価が実験の進行状況の影響で追行し得なかったために生じた。
平成27年度は,平成26年度に行えなかった上記①②の検討を行う予定であるが,今回生じた「次年度使用額」は,その際の必要物品購入に充てる予定である。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 1件)
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