研究概要 |
野生型(WT)、ABCA1ノックアウト(KO)、ABCA7 KOマウスの各々から、E12-14胎児由来初代培養線維芽細胞を調製し、40回以上の継代を経ても安定な細胞株(MEF)を樹立した。これらの細胞ならびにABCA1, ABCA7のどちらの発現もないHEK293細胞、HEK293へのABCA1, ABCA7安定発現株を用い、各種アポリポタンパク質(apoA-I, apoA-II, apoE2, apoE3, apoE4)に対する反応性を比較した。ABCA1 KO-MEFがアポリポタンパク質反応性を一切示さなかったのに対し、ABCA7 KO-MEFの脂質放出にWT-MEFとの顕著な差はなかった。内因性ABCA7のMEFでのHDL新生への寄与は小さいと考えられた。一方、ABCA1の関与しない条件下での反応が観察可能なHEK293 ABCA7安定発現株では、3種のapoEアイソフォームを含めたすべてのアポリポタンパク質への脂質放出が確認された。そのコレステロール/リン脂質比は先に報告しているのと同様にABCA1発現株の場合よりも低値であり、どのアポリポタンパク質の場合もほぼ同レベルであった。また、ABCA7発現量を変化させても変動しなかった。さらにABCA1発現株とABCA7発現株ではapoEよる脂質引き抜きの効率のアイソフォームによるスペクトラムが異なり、ABCA1またはABCA7発現レベルを変えた時の変化も違うことも示された。 上記以外に、 ABCA1 KO, ABCA7 KO, apoE KOマウス等を用い、血液脳関門のバリア形成や維持にABCA1, ABCA7がどのように関与するかを調べる実験系構築その他を行うことができた。
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