研究課題
マウスマクロファージ様細胞株(RAW264.7細胞)において、血管平滑筋細胞の骨芽細胞への分化誘導作用を有するoncostatin M (OSM)の発現調節機構とそれに対するHIF-1aの関与についてさらに検討した。Dimethyloxallylglycine (DMOG)によりHIF-1a蛋白の発現を上昇させると、LPSによるOSMの誘導反応が有意に抑制された。さらに、RAW264.7細胞を低酸素下(1% O2)で培養すると、HIF-1aの蛋白発現が上昇するとともにLPSに対するOSMの誘導反応は有意に抑制された。一方、ChetominによりHIF-1の転写活性を阻害すると、LPSによるOSM誘導反応は有意に増強された。また、siRNAを用いてHIF-1aの発現をノックダウンするとLPSによるOSMの誘導反応は有意に増強された。次に、ヒト単球様細胞株(THP-1細胞)をPMAでマクロファージに分化させた細胞(THP-1マクロファージ)において上記と同様の検討を行った。2-deoxyglucoseによりHIF-1a蛋白の発現を抑制すると、LPSによるOSM誘導反応は有意に増強された。また、HIF-1aの阻害剤であるLW6の処理によりLPSによるOSMの誘導反応は有意に増強された。一方、CoCl2によりHIF-1a蛋白の発現を上昇させると、LPSによるOSM誘導反応は有意に抑制された。以上の結果から、HIF-1aはLPSによるOSMの発現誘導に対して抑制的に作用しており、その結果、血管石灰化にも抑制的に作用する可能性が示唆された。最後に、マクロファージ特異的にHIF-1aを欠損した動脈硬化モデルマウスであるapoEKO/Mac-HIF-1αKOマウスを作製した。このマウスに由来する腹腔マクロファージにおいてHIF-1a蛋白発現の著明な低下を確認した。動脈硬化性プラークの石灰化に対する影響については現在検討中である。
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腎と透析
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CliCa