研究課題
基盤研究(C)
1)高血糖刺激によるCYP11B2発現・アルドステロン分泌亢進メカニズムの解明:i)DNAマイクロアレイ:我々は、高血糖刺激+/-後のヒト副腎H295R細胞からRNAを抽出した後に、DNAマイクロアレイを施行した。その結果、アルドステロン合成酵素CYP11B2の発現亢進が確認されたことに加え、カルシウムシグナル伝達に関与する多くの遺伝子の変動が認められた。ii)定量PCR:高血糖刺激+/-後のヒト副腎H295R細胞から抽出したRNAを用いて定量PCRを行ったところ、CYP11B2の発現亢進の他、T型カルシウムチャネルや転写因子Nurr1やNGFIBの発現亢進が認められた。iii)細胞内Ca2+測定:高血糖刺激下のH295R細胞にアンジオテンシンIIや塩化カリウムを投与したところ、非刺激下の場合に比して細胞内Ca2+の上昇が認められた。iv)阻害剤実験:Ca2+/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼ(CaMK)阻害薬であるKN-93の添加により、高血糖誘導性のCYP11B2発現亢進の抑制が認められた。また、カルシウムチャネルブロッカー(特にL/T型)によっても高血糖誘導性のCYP11B2発現亢進の抑制が認められた。2)iNOS TGマウス・iNOS/RAGEダブルTGマウス腎病変とcyp11b2発現・アルドステロン分泌の連関の検討:我々は、生後8週間の野生型マウス、iNOS TGマウス、iNOS/RAGEダブルTGマウスから腎臓を摘出した後にRNAを抽出し、現在cyp11b2の定量PCRを施行中である。尿中アルドステロン測定に関しては、ELISA前に尿中アルドステロンを抽出する必要があり、現在、その条件検討が終了したところである。また、同RNAを用いて、DNAマイクロアレイも施行し、現在得られた結果の解析中である。
2: おおむね順調に進展している
研究実績の概要で示した様に、1)高血糖刺激によるCYP11B2発現・アルドステロン分泌亢進メカニズムの解明の、i)DNAマイクロアレイ、ii)定量PCR、iii)細胞内Ca2+測定、iv)阻害剤実験に関しては、予定していた研究を全て遂行する事が出来た。2)iNOS TGマウス・iNOS/RAGEダブルTGマウス腎病変とcyp11b2発現・アルドステロン分泌の連関の検討に関しては、cyp11b2発現は現在定量PCR施行中であり、尿中アルドステロン測定に関してはELISAの条件検討が終了したところであるが、当初の計画には含まれていなかったiNOS TGマウス・iNOS/RAGEダブルTGマウスの糸球体RNAを用いてのDNAマイクロアレイを施行し、現在データの解析中である。以上の結果から、本プロジェクトはおおむね順調に進展していると判断した。
平成26年度は、平成25年度に引き続いてiNOS TGマウス・iNOS/RAGEダブルTGマウス腎病変とcyp11b2発現・アルドステロン分泌の連関の検討を行う事に加え、高血糖刺激によるCYP11B2発現亢進を抑制する新規薬剤のスクリーニングを予定している。平成27年度は、得られた新規薬剤のiNOS TGマウスならびにiNOS/RAGEダブルTGマウスを用いた検証を行う予定である。
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Mol Cell Endocrinol
巻: 383 ページ: 60-68
10.1016/j.mce.2013.12.004.
http://www.med.tohoku.ac.jp/org/health/84/index.html
http://www.med.tohoku.ac.jp/english/org/health/84/index.html