研究課題
糖尿病患者は高頻度に高血圧を合併しているが、高血圧と高血糖の間の連関は未だ不明の点が多い。本連関を解明する一環として、我々は高血糖刺激がアルドステロン合成酵素遺伝子(CYP11B2)発現に及ぼす影響を検討した。興味深いことに、高血糖刺激(D-glucose)が刺激時間・濃度依存的にヒト副腎H295R細胞においてCYP11B2プロモーター活性・mRNA発現を増強することが見出された。CYP11B2プロモーターdeletion mutantsを用いた解析から、本作用はCYP11B2プロモーター上のNBRE-1領域を介する可能性が示唆された。このNBRE-1に結合する転写因子であるNurr-1とNGFIBも、D-glucose刺激によりmRNA量の増加を示した。更に、D-glucose刺激によるアルドステロン分泌量の増加や細胞内Ca濃度の増加も認められた。D-glucoseによるCYP11B2増強作用はARBやPKC-β阻害薬(LY333531)の添加によって抑制されなかった一方で、CaMK阻害薬(KN93)により抑制された。また、Ca拮抗薬はいずれも同作用を抑制したが、T/L型Ca拮抗薬(塩酸ベニジピン)の作用が最も強力であった。さらにD-glucoseによるT型CaチャネルmRNA量の発現増加も認められた。以上の結果から、高濃度D-glucose刺激はT型Caチャネルの発現増加を介してCaMKの活性化、Nurr-1・NGFIBの発現増強、ならびにNBRE-1領域の転写活性亢進を介して、CYP11B2発現を誘導すると考えられた。本作用はアルドステロンの分泌増加を介して高血圧・動脈硬化の進展に関与する可能性が示唆された。
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件) 図書 (2件) 備考 (2件)
Biochem Biophys Rep
巻: 5 ページ: 134-140
10.1016/j.bbrep.2015.11.009
FEBS Open Bio
巻: 5 ページ: 36-41
10.1016/j.fob.2014.12.001.
PLoS One
巻: 10 ページ: e0141960
10.1371/journal.pone.0141960.
生化学
巻: 87 ページ: 61-64
10.14952/SEIKAGAKU.2015.870621
http://www.med.tohoku.ac.jp/org/health/84/index.html
http://www.med.tohoku.ac.jp/english/org/health/84/index.html