研究課題
基盤研究(C)
1)臓器保護Gs受容体シグナルのクロストークと脱感作による破綻:Gs共役レセプター群がGq/G13共役レセプターシグナルに対し抑制的にクロストークし臓器保護に作用するメカニズムを検討した。①Gq/G13共役レセプターシグナル抑制と新規同定したRhoGDIαリン酸化とには相関関係検討。(1) RhoGDIαリン酸化によるRhoAの抑制はRac/Cdc42では観察されず特異的であることが明らかとなった。(2) Gq/G13共役レセプター刺激による臓器障害シグナルは、細胞形態変化と連動し、Gs共役受容体刺激によるRhoGDIαリン酸との相関が観察された。②Gs共役受容体持続的活性化と脱感作機構検討。(1) GRK活性化はGs共役レセプターの脱感作現象と相関し受容体の局在変化(internalization)を生じた。③GRKに対するNO供与体によるnitrosylationによる脱感作抑制検討。(1)NO産生を生じないがnitrosylationを生じる新たな化合物を合成した。(2)本化合物はin vitroおよびintact細胞において、GRK2をnitrosylationした。(3)相関してβアドレナリン受容体の脱感作を抑制した。GRK2を標的とする治療戦略はGs共役受容体の脱感作を背景とする病態に対して有用である可能性が示された。2)AT1をモデルとするダイマー形成と臓器障害シグナル:臓器障害例では、AT1ダイマー形成と臓器障害シグナル増強が報告されたがシグナル変化の詳細は必ずしも明らかではない。①培養細胞にAT1あるいはダイマー形成部位とされるQ315変異体を発現しシグナルの変化を検討し差異を観察した。②またARBによる抑制の差異を観察した。
2: おおむね順調に進展している
(1)GPCRシグナルのクロストークについて基盤となるシグナルの特異性についての検討を長年行ってきた。また、その基盤となるGタンパク質と疾患について検討を行ってきた。(2)GRK2のnitrosylationによる脱感作抑制については議論があったが、その一因はnitrosylationを生じる薬剤は同時にNOを産生することで、NOガスとnitrosylationの作用を区別することが困難であった。nitrosylationを生じるがNOガスを生じない化合物を合成することに成功し(大和田教授グループ)、この問題を解決することが可能となった。
1)Gs共役受容体シグナルによるGq/13共役受容体シグナルの抑制のクロストークポイントは、今までRhoAのリン酸化と抑制にあると考えられてきた。我々のデータはRhoGDIのリン酸化がその機序であることを示唆した。しかし、RhoAのリン酸化の存在と機能変化の有無については必ずしも明らかではない。今後、RhoGDIのリン酸化とRhoAのリン酸化が相乗的に作用するのかについて検討を進める。2)GRK2のnitrosylationによる抑制を観察したが、nitrosylationを生じる化合物の作用特異性についての検討が重要である。in vivoの作用検討は間接的にこの問題に役立つと考えられる。
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