研究課題
グレリンは、外来性に投与すると、GH分泌促進作用,摂食促進作用,脂肪蓄積作用など多彩な作用を発揮することが知られており、食欲不振性疾患や種々の消耗性疾患への臨床応用が期待されている。グレリンを臨床応用へ展開する上で、基礎的検討を行うために、グレリン過剰産生Tgマウスを作製し、特に摂食行動に注目し解析を行った。Serum-Amyroid-P promoter を用いてdes-acylグレリンを過剰するマウスとGhrelin-O-acyltransferase(GOAT)を過剰発現する2系統のTgマウスを作製した。更にこれらのマウスを交配し、グレリンを過剰分泌するマウスを作製した。標準食摂餌下では、Tgマウスの血中グレリン濃度は、野生型に比較して約2倍に、中鎖脂肪酸含有食摂餌下では、約10倍にまで上昇していた。これらのマウスの体重変化や摂餌量を観察したところ、標準食摂餌下、中鎖脂肪酸含有食摂餌下のいずれの条件下でも、野生型と比較して有意な差は認めなかった。ところで、浸透圧ポンプを利用してグレリンを皮下に持続投与し、その血中濃度が非投与時の約10倍になるように調整したマウスでは、著名な摂食量の増加と体重増加を認めた。しかしながら、このマウスに中鎖脂肪酸を高濃度含有する餌を与えると、グレリンによる摂食促進作用はキャンセルされた。一方、グレリンによるGH分泌促進作用は中鎖脂肪酸含有食摂餌下においても、変わりなく発揮された。これらの検討から、グレリンの摂食促進作用に関して、中鎖脂肪酸はグレリン抵抗性を惹起することが示唆された。
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