研究課題
我々はこれまでに、雄性アンドロゲン受容体(AR)欠損マウス(ARKOマウス)を用いて、心血管ストレスモデルを作成し、ARが多様な心血管臓器保護効果を発揮することを明らかにしてきた。とくに雌雄のARKOマウスを用いた後肢虚血モデルを用いた解析では、ARが虚血耐性や、虚血後の血管新生作用において、性別に関わらず、重要な役割を果たすことを報告してきた。しかしながら、これらのモデルでは、全身の組織のARを欠損したモデルであったため、ARの組織特異的な心血管組織での臓器保護効果の詳細なメカニズムは不明なままであった。そこで、我々はマクロファージ特異的なAR欠損マウスを、粥状動脈硬化モデルマウスであるApoE欠損マウスをバックグラウンドとして作成し(ApoE-/- LysM AR-/Y)、 コントロールであるApoE-/-AR+/Yマウスと比較することによって、マクロファージ特異的なARの粥状動脈硬化形成過程における役割について検証することとした。その結果、大動脈弁直上部のplaque面積は、ApoE-/- LysM AR-/Yマウスにおいて、ApoE-/- AR+/Yマウスより軽度の増大傾向を示したが、有意な差を生じるほどでは無かった。大動脈サンプルを用いたWestern blot解析では、ApoE-/- LysM AR-/Yマウスにおいて、p38のリン酸化亢進や、ERK5リン酸化低下の傾向が見られたが、PCR array解析でも、むしろ炎症系のサイトカインやケモカインの発現は、ApoE-/- LysM AR-/Yマウスにおいて低下しており、マクロファージにおけるARの粥状動脈硬化抑制硬化は、決定的でなく、限定的なものであることが示された。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (6件)
J Atheroscler Thromb.
巻: 23 ページ: 257-265
10.5551/jat.31047.
Endocr J.
巻: 63 ページ: 397-404
10.1507/endocrj.EJ15-0589.
Hypertens Res.
巻: 38 ページ: 733-740
10.1038/hr.2015.74.
Diabetes Metab J.
巻: 39 ページ: 342-347
10.4093/dmj.2015.39.4.342.
J Med Invest.
巻: 62 ページ: 126-129
10.2152/jmi.62.126.
Nutr J.
巻: 14 ページ: 111
10.1186/s12937-015-0102-4.
Blood Coagul Fibrinolysis.
巻: 26 ページ: 956-958
0.1097/MBC.0000000000000346.