• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

生活習慣病発症における血管内皮レプチン抵抗性の役割

研究課題

研究課題/領域番号 25461396
研究種目

基盤研究(C)

研究機関慶應義塾大学

研究代表者

神田 武志  慶應義塾大学, 保健管理センター, 講師 (80317114)

研究分担者 小松 素明  慶應義塾大学, 医学部, 助教 (70528687)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード内皮細胞
研究概要

メタボリックシンドローム(Mets)では耐糖能異常・脂質代謝異常を介して血管内皮障害が引き起こされ、血管拡張不全や接着分子発現亢進により動脈硬化の発症に寄与すると従来は考えられてきた。しかし、申請者らは脂肪細胞分化のマスターレギュレーターであるPPARγを血管内皮細胞特異的に欠損させるとCD36、aP2等の遺伝子発現低下を介して遊離脂肪酸(FFA)の取り込みやリポ蛋白リパーゼ(LPL)の作用が減弱し、著明な高中性脂肪血症をきたすことを報告した。更に内皮細胞はFFA取り込みのゲートキーパーとして働き、その障害は高血圧の発症のみならず、脂質異常症を惹起し、脂肪重量を調節することを明らかにした(Kanda et al. J Clin Invest. 2009)しかし、肥満症・Mets進展において血管内皮細胞がどのような役割を果たしているかはいまだ不明である。
レプチンは脂肪細胞由来のアディポサイトカインで、その血中濃度は体脂肪の増加に比例し、主に視床下部のレプチン受容体(LEP-R)を介して摂食抑制やエネルギー代謝を亢進させ体重、特に体脂肪量を減少させる。一方、脂肪組織には豊富な血管網が存在し、内皮細胞においてもLEP-Rは発現していることから脂肪細胞から分泌されたレプチンの内皮細胞に対するパラクライン作用が想定されている。本研究の目的は代謝特に肥満症における内皮レプチンシグナルの意義は明らかにすることである。具体的には、血管内皮細胞特異的LEP-R欠損マウスを用いて、肥満、動脈硬化モデルでの内皮レプチン受容体の機能解析を行う。平成25年度は、血管内皮細胞特異的LEP-R欠損マウスの系統樹立と、普通食ならびに高脂肪食負荷時における表現型の解析を行った。さらに、ob/obマウスを用いてレプチンの脂質作用について検討をすすめた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

マウスの表現型解析は進展しており、脂質代謝における内皮レプチン受容体の機能は徐々に明らかとなりつつある。しかし、遺伝子改変マウスの匹数の関係上、高血圧に関する解析、並びにin vitroでの解析は遅れている。in vitroの実験はマウスより内皮細胞を分離培養するためである。よって血圧の表現型とin vitroの検証は次年度以降の課題である。

今後の研究の推進方策

当初研究計画の通り、疾患モデルにおける内皮レプチン受容体遺伝子改変動物の表現型解析をさらに進める。また、これら表現型のメカニズムの解明をin vitroの実験とともに推進する。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度は、研究計画の中心である内皮レプチン受容体欠損マウスの作成と表現型解析を行った。 一方、遺伝子改変マウスの匹数の関係から高血圧、in vitroの実験が遅れており、研究消耗品のうち血圧測定、ホルモン測定、in vitroの実験として想定していた予算などについては、研究の進捗状況を鑑み、解析結果や遺伝子改変マウスの匹数を踏まえた上で次年度以降に使用することが望ましいと考えた。
これら平成25年度の繰越分を合わせて、一定の研究成果を得られるよう、研究全体を再度計画し、適切に使用する。具体的には降圧薬の購入、血中、尿中ホルモンの測定、in vitroの検討のための各種抗体を購入し、NO産生に関わるeNOSのリン酸化などの発現量を検討する。
レプチンの動脈硬化への影響に関し相反する報告(Circ 2001, JBC 2001)がある。レプチン刺激により、MCP-1,ET-1、酸化ストレスが上昇し内皮機能障害を惹起することが報告されている。動脈硬化モデルの検討のため①AngiotensinII注入による血管傷害モデル②内皮特異的LEP-R欠損マウスとApoEノックアウトマウスを掛け合わせによる脂質を介した動脈硬化モデルを用い、内皮レプチンシグナルの動脈硬化による役割を明らかとする。

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi