研究課題/領域番号 |
25461397
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
柴田 洋孝 大分大学, 医学部, 教授 (20245484)
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研究分担者 |
伊藤 裕 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40252457)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アルドステロン / 糖尿病 / ミネラルコルチコイド受容体 |
研究実績の概要 |
1.高グルコースおよびO-GlcNAc修飾とMR発現レベルへの影響 HEK293細胞にMRを強制発現させた培養細胞系にて、5mMから30mMへのグルコース濃度の上昇により、MRのO-GlcNAc修飾およびMR蛋白レベルの増加を認めた。また、O-GlcNAc transferaseまたはO-GlcNAcaseの強制発現によりMRのO-GlcNAc修飾を増加または減少を誘導した際に、MR蛋白レベルも増加または減少を認めたが、MR mRNAレベルは変化しなかったことから、MRのO-GlcNAc修飾はMR蛋白分解が抑制された可能性が示唆された。
2.MRのO-GlcNAc修飾残基の同定 MRのN末端をN末端側からMR-AF1a, MR-ID, MR-AF1bの3つの部位に分けた欠失変異体プラスミドを作成した結果、MRのO-GlcNAc修飾残基は主にMR-IDに存在することが示された。 次に、GST-MR-IDまたはGST-MR蛋白をbaculovirusに産生させたものを用いて、in vitro O-GlcNAc反応を行い、生成物をLC-MS/MSにて分析した結果、MR-(295-307)部位にSer残基のclusterを認め、そこがO-GlcNAc部位であることが示された。さらに、各Ser残基のAla残基へのsite-directed mutagenssisにより点突然変異体を作成して検討した結果、どのSer残基の変異体もO-GlcNAc修飾の減少を認め、特に、S298A, S299Aはbasal levelからMR発現レベルが低下した。また、S295A/S296A/S298A/S299A MR変異体では、ユビキチン化が増加し、MR蛋白レベルの減少を認めた。以上より、これらのSer残基のO-GlcNAc修飾により、ユビキチン化が減少し、MR蛋白レベルが増加することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高グルコースにより、ミネラルコルチコイド受容体(MR)がO-GlcNAc修飾を受けて、蛋白レベルが増加することを見いだし、さらにMRのO-GlcNAc修飾部位としてN末端の4つのSer残基を同定できた。さらに、そのSer残基のAlaへの点突然変異体がユビキチン化の亢進により蛋白が不安定化することを見いだした。以上より、高グルコースはMR蛋白のO-GlcNAc修飾により安定化し、MR蛋白レベルの増加とMR標的遺伝子の発現亢進を誘導することを明らかとした。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までの結果をふまえて、糖尿病モデル動物を用いて、高血糖下でMR発現レベルやMR標的遺伝子発現が亢進するか否かをin vivoにて検討して論文化する。
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次年度使用額が生じた理由 |
慶應義塾大学から大分大学へ異動し、研究室の立ち上げに時間がかかり、研究の進行が遅れたため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度の最終年度は、モデル動物におけるミネラルコルチコイド受容体の糖鎖修飾とその機能解析を加えて、論文発表として仕上がる予定である。
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