(1)転写制御因子であるδEF1KOマウスにおける、下垂体後葉形成不全に関して、後葉の組織形成時における細胞増殖をBrdUを用いて観察した。その結果、野生型においても、下垂体後葉は胎生11日から12日にinfundibulumとして間脳底部から加入すると、その細胞増殖は殆ど消失することがわかった。このことから、δEF1KOマウスにおける後葉形成不全が細胞増殖に起因している可能性は低いと考えられた。 (2)上記の結果をもとに、下垂体後葉に投射する室傍核や視索上核が正常に形成されているかどうかという点に関して、形態的、および免疫組織化学染色を用いて検討した。その結果、形態的にも各神経核が形成されていること、またバソプレッシン抗体による染色においても、それらの神経核で産生されていることがわかった。これらのことは、後葉組織に投射する神経核は正常に形成されていることを示している。 上記の結果より、δEF1KOマウスに観察された下垂体後葉形成不全は、少なくともそれに投射する神経核側が原因ではないことが明らかとなった。
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