研究課題/領域番号 |
25461401
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
日野 純 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (40260351)
|
研究分担者 |
宮里 幹也 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (50291183)
荒井 勇二 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (30202724)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | BMP / 肥満 / 脂肪細胞 / 分化 / アディポサイトカイン / 代謝 / 脂肪組織 / TGF-b |
研究概要 |
私達が発見したBone morphogenetic protein-3b(BMP-3b)の新しい役割として、脂肪細胞から分泌するアディポサイトカインとしての機能およびその病態生理学的役割の解明を目指した研究である。 BMP-3bは、構造上、他のBMP (BMP-2, 4や7)と類似したアミノ酸配列を有しているが、それらとは異なる、独自の作用を有している。例えば、骨芽細胞分化抑制作用や初期胚発生過程における頭部(神経)誘導作用などがある。一方、BMP-3bは、脂肪組織にも多く発現しているが、そこでの機能は不明であった。 私達のこれまでの培養細胞系の検討において、BMP-3bは、脂肪組織中の脂肪細胞から分泌され、脂肪細胞分化抑制作用を有することや、肥満モデルマウスの脂肪組織でのBMP-3bの発現量増加を見出した。本年度は、BMP-3bの脂肪組織における機能を、動物個体レベルで検討し、生理作用や病態生理学的役割を解析した。まず、BMP-3bを脂肪組織特異的に過剰発現するマウス(aP2-BMP-3b Tg)を作製し、高脂肪食により誘導される肥満に対する作用を調べた。その結果、aP2-BMP-3b Tgでは、野生型と比較して、体重増加抑制、脂肪組織量減少、脂肪細胞の肥大化抑制作用といった抗肥満作用を示した。更には、糖負荷試験やインスリン負荷試験より、耐糖能、インスリン抵抗性の改善効果を明らかにした。一方で、代謝解析の結果、aP2-BMP-3b Tgでは、野生型と比較して、摂食量はむしろ増加していたが、酸素消費量、熱産生量、活動量、飲水量が増加し、代謝が亢進していることが判明した。今後は、これら、aP2-BMP-3b Tgの抗肥満作用のメカニズムの解明や病態生理学的役割の検討を進めていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書に記載した事項を予定通りに進めている。遺伝子改変動物での検討が多いので、動物の繁殖数により、進捗が計画書と比較して、多少前後している検討項目もある。
|
今後の研究の推進方策 |
基本的には、研究計画書に記載した計画により推進する。遺伝子改変動物を用いた検討においては、繁殖能力が均一ではないので、進捗状況や結果を踏まえて柔軟に対応していく。
|
次年度の研究費の使用計画 |
年度内の使用量を予測して物品を購入したが、一部、納入を終えることができなかった試薬があったため。 上記のような試薬については、次年度中に速やかに発注し、年度内に使用完了とできるように実験を行う。
|