研究課題
本研究は、骨髄腫の細胞株と臨床検体を用いて、side population(SP)分画をセルソーターで採取し骨髄腫SP細胞のがん幹細胞としての性質を詳しく調べた上で、SP細胞に特徴的に発現するmicroRNA(以下miRNA)を同定する。さらに、SPにおけるmiRNAの機能解析と標的遺伝子・蛋白の同定を行い、治療標的ともなり得る標的分子を同定する。20検体(現在解析中)と骨髄腫14細胞株のSPと非SP細胞を純化し網羅的なmiRNA/遺伝子発現解析を行い、SPと非SP(以下MP)での発現比較を行う。同定されたmiRNAに対する機能解析を中心に行う。miR-181の標的蛋白としてBmi-1が考えられる(RPMI 8226細胞株では、EZH2発現上昇→miR-181発現低下→Bmi-1発現上昇→Pten or Bim発現低下→Bcl2発現上昇という機序を明らかにした。また、以下の研究を行った。標的となりうる遺伝子Bmi1のsiRNAを設計しtetracycline off systemにより発現調整ができるvectorを細胞株に導入した。そしてNOGマウス(NOD/Shi-scid, IL-2Rγnul mouse)に、標的遺伝子のsiRNAのレンチウィルスベクターを組み込んだ腫瘍細胞株または臨床検体細胞を経皮下的に移植して腫瘍を発症させた後、tetracycline(5g/l)水を同マウスに投与してsiBmi1を発現させ、SP細胞への腫瘍抑制効果を検討した。結果、腫瘍の縮小効果が認められた。
2: おおむね順調に進展している
計画通りに実験が進んでいる。
Luciferase assayによりmiRNAの標的蛋白を直接コードするmRNAを同定する。骨髄腫進展に伴うSPにおけるmiRNAの検索を行う。つまり、MGUS(monoclonal gammopathy undetermined significance), 無症候性骨髄腫、症候性骨髄腫、そして、再発難治性骨髄腫といった病態の進行に伴うmiRNAのSPにおける発現変化を網羅的解析で探索する。遺伝子発現解析でSP特異的に発現する細胞表面抗原が判明すれば、抗体を作成し生体内での骨髄幹細胞の同定をも目指す。
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Int J Hematol
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