研究課題
基盤研究(C)
本研究は急性白血病および悪性リンパ腫患者における診断時血清と臨床データを前向きに収集し、診断時の可溶型LR11値と治療奏効率、無病生存率との関係を示すことを目的としています。現在、急性白血病149例、悪性リンパ腫229例の計378症例を登録しました。すべての症例において診断時血清を収集し、このうち204症例については治療後血清も収集しています。現在、登録症例における臨床情報(詳細な組織診断名、病期分類、合併症の有無、診断時の臨床検査成績、治療内容、治療効果)の収集を進めており、収集されたデータのクリーニング作業を行っています。また、併行して研究事務局に保管されている患者血清の可溶型LR11値の測定をELISA法で行っています。初発時血清の測定はほぼ完了していますが、治療後検体についてはまだ観察期間中の症例もあり、今後も収集と解析を継続していきます。リンパ腫症例については、腫瘍組織におけるLR11の発現も免疫染色にて解析する予定であり、現在20例の組織標本を収集し、今後もさらなる標本を収集する予定です。中間解析では、急性白血病および悪性リンパ腫ともに診断時の血清可溶型LR11値は健常人コントロール値に比べて有意に高く、治療後寛解を得た症例においては有意に低下することが確認されています。また、リンパ腫の腫瘍組織における免疫染色でLR11が高発現していることも確認されました。今後は、血清可溶型LR11値に影響する因子や、血清可溶型LR11値および腫瘍組織のLR11発現と予後との関係を明らかにすべく、さらに詳細な解析を行う予定です。
2: おおむね順調に進展している
平成25年度に行う計画としていた症例登録とデータ収集はほぼ完遂できている。
診断時および治療後の血清sLR11 値の測定をすべて行い、診断時血清sLR11 値が腫瘍量と相関して上昇すること、またそれが治療により完全寛解後は正常化することを示す。診断時に血清可溶型LR11 値が高値を示す症例が予後不良であることを前方視的に示す。診断時血清可溶型LR11値と既知の予後因子と組み合わせ、より詳細な新たな予後予測モデルを構築し提案する。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)
Leukemia and Lymphoma
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