研究課題
基盤研究(C)
急性骨髄性白血病(Acute Myeloid Leukemia; AML)細胞株やプライマリー細胞を、骨髄ストローマ細胞共培養や免疫不全マウス(NOG、NODマウス)へ移植・継代する系を用いて、抗がん剤に対する微小環境における治療抵抗性モデルを樹立し、ヘッジホッグ(Hedgehog; Hh)シグナル伝達経路の病態関与を含めて検討した。AML患者骨髄由来細胞を、NOG、NODマウスに経静脈的に移植し、Ara-C等の抗がん剤や、HhシグナルにおけるSMO標的阻害剤(PF-913)の投与治療を施行した。未処置群、処置群それぞれのマウスから骨髄を採取回収し、RNA抽出後にマイクロアレイを行なった。解析には、GSEA (gene set enrichment analysis)を用いた。細胞周期、生存、治療抵抗性に結びつく機能候補分子を絞り込み、Hhシグナルに関わる遺伝子群の変化や意義についても解析を行なった。また、白血病マウス骨髄細胞について、FACSAriaを用いた表面マーカーや、細胞周期や細胞死に関わる解析を行ない、残存白血病の細胞特性について明らかにした。HS-5ストローマ細胞を用いて共培養系において、パラクライン機序を介したHhシグナルがAML細胞株やプライマリー細胞において活性化していることを確認し、Ara-Cのストローマ共培養下における耐性とSMO阻害剤の併用効果について明らかにした。また投与下における、GLI1、GLI2、GLI3等、SMO下流シグナル分子の発現変化について定量PCRやWestern blottingで解析を行い、細胞内局在の変化についても検討した。SMO阻害剤投与後に、細胞分化に関わる表面マーカーの変化について検討するとともに、表面抗原スクリーニングキットを用いて新規バイオマーカーの探索を行ない、有望な表面抗原について絞り込むに至った。
1: 当初の計画以上に進展している
研究は計画通り進行するとともに、新規治療バイオマーカーの同定などにも成功し、検討を継続している。これらの成果は、海外学会(ASH、AACR、Keystoneシンポジウム)等でも演題採択され、発表に至っている。
スクリーニング実験より得られた新規治療バイオマーカーの生物学的活性や意義について、重点的な検討を継続していく。また、AMLなど造血器悪性腫瘍を対象としたSMO阻害剤の早期臨床治験も開始されており、IRB申請•承認や適切なICに基づいた上で、臨床検体を用いたトランスレーショナル研究についても平行して行なっていく。
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