研究課題/領域番号 |
25461418
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
江副 幸子 大阪大学, 医学部附属病院, 講師 (90379173)
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研究分担者 |
金倉 譲 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20177489)
柴山 浩彦 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60346202)
織谷 健司 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70324762)
水木 満佐央 大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (80283761)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | iPS細胞 / 骨髄異形成症候群 / 疾患特異的 / 骨髄微小環境 |
研究概要 |
我々は、本研究において、骨髄異形成症候群(MDS)における造血幹細胞と骨髄微小環境との関係を明らかにしたい。特にMDS患者では、造血幹細胞に異常があると考えられているが、微小環境側の異常の有無についても明らかにしたいと考えている。MDS 患者骨髄細胞由来のiPS細胞を作成することにより、そこから骨芽細胞を含む骨髄間葉系細胞に分化させることによって、その造血細胞に及ぼす影響について解析したいと考え、研究を計画した。大阪大学大学院医学系研究科血液・腫瘍内科学教室において保管されている骨髄異形成症候群(MDS)患者I症例の骨髄細胞を用いてiPS細胞株を樹立した。MDSの疾患細胞を区別するために、7(-)を持つ患者の骨髄細胞を用いた。MDS患者骨髄細胞からのiPS細胞の樹立は困難であったが、CD34陽性細胞を選択し、遺伝子導入を行うことによってiPS細胞株を樹立することができた。さらにそれぞれのクローンをFISHを用いて7(-)染色体異常の有無を検索し、数個の7(-)染色体異常をもつ細胞株を獲得することができた。これまでMDSの患者特異的iPS細胞を樹立することは困難であると言われているが、改良を重ね少数ではあるが疾患由来のiPS細胞を樹立できた。 一方、正常臍帯血CD34陽性細胞からiPS細胞を樹立し、骨芽細胞、筋芽細胞、脂肪細胞への分化を確認するとともに、間葉系細胞への分化を試み、CD105、CD90の発現を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書における研究の目的では、疾患特異的iPS細胞から樹立した骨髄間葉系細胞や骨芽細胞と、正常造血幹細胞、正常骨髄微小環境細胞と疾患造血幹細胞との共培養を行うことにより、MDSの病態形成において骨髄微小環境の役割について明らかにすることを明記している。本研究において、共培養の系における細胞の観察や遺伝子解析は比較的スムースに行えると考えているが、iPS細胞の樹立やiPS細胞からの骨髄環境細胞への分化系の確立に時間を要することが当初より予想された。これまで、ほとんど実験系の確立に時間を要しているが、極めて困難な過程はおおむね通過したと考え、上記の評価を行った。
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今後の研究の推進方策 |
さらに数例の症例についてiPS細胞の樹立を行う。樹立した疾患iPS細胞を用いて骨芽細胞、骨髄間葉系幹細胞への分化を試み、正常の骨芽細胞、骨髄間葉系幹細胞との違いを形態、遺伝子発現などにつき検討する。 本研究における我々の主な目的は、患者由来の骨髄間葉系細胞が造血に及ぼす影響を解析することである。正常間葉系細胞と患者造血細胞、患者間葉系細胞と患者造血細胞、正常間葉系細胞と正常造血細胞とのそれぞれ共培養を行う。その上で、造血細胞の分化や増殖、アポトーシスに及ぼす影響を解析する。造血細胞と骨髄微小環境との関係は、決して一方的ではなく、相互作用が存在すると思われる。これらの培養系に於いて造血細胞における変化についての解析も極めて重要である。この培養系において有意なアポトーシスや形態異常が認められた場合、造血幹細胞を共培養することで各系統分化過程のどの段階でアポトーシスが誘導されるのか、それに呼応して誘導される分子についても解析を行いたい。
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