研究課題
骨髄異形成症候群(MDS)は、造血幹細胞に異常が生じ、成熟障害が起こることで発症するが、骨髄における造血環境もその病態に大きく寄与していることが報告されている。これまで、骨髄支持細胞において造血細胞と同様の染色体異常は報告されていないが、in vitroの培養や、造血幹細胞の移植によって同様の病態を再現することはできていない。本研究は、骨髄異形成症候群の遺伝子異常を有する骨髄支持細胞が造血に及ぼす影響について解析することを目的とし、研究を実施した。MDS患者の骨髄細胞よりiPS細胞を樹立した。7番染色体異常を持つMDS患者3名よりiPS細胞樹立を試行したが、1例のみ樹立できた。本iPS細胞より7番染色体異常を持つコロニーを3つ選択し、増殖させた。また、同iPS細胞株から間葉系幹細胞への分化を行い、間葉系幹細胞としての性質の確認を行ったが、骨芽細胞、脂肪細胞、軟骨細胞への分化は確認できなかった。複数回の試行において分化が確認できなかったことより、本iPS細胞由来の間葉系幹細胞には分化異常があることが示唆された。一方、①本間葉系幹細胞と患者由来の造血幹細胞、②正常間葉系幹細胞と患者由来の造血幹細胞、③本間葉系幹細胞と正常造血幹細胞の共培養をそれぞれ行った。①および②において造血細胞の形態異常を認めたが、③についても形態異常を認めた。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)
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