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2015 年度 実績報告書

BCRーABL陽性白血病に対する新たな治療標的分子の同定

研究課題

研究課題/領域番号 25461424
研究機関九州大学

研究代表者

岩崎 浩己  九州大学, 大学病院, 准教授 (20403925)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード白血病幹細胞 / 慢性骨髄性白血病
研究実績の概要

平成27年度研究では前年度に引き続き、慢性期CML幹細胞に対する治療標的候補分子の抽出を目指す研究を継続した。初発慢性期CML患者骨髄細胞中の幹細胞分画および骨髄球系前駆細胞分画をFACSで純化し、FISH法をもちいてBCR-ABL陽性CMLクローンが占める割合を詳細に解析した結果、CD34陽性CD38陰性の幹細胞分画中に占めるCMLクローンの比率は1~98%と症例によって大きなばらつきが認められた。興味深いことに、幹細胞分画中のCMLクローン比率は、巨核球前駆細胞数と強い正の相関が認められた。近年、マウス正常造血において、巨核球が幹細胞ニッチを形成するとの報告がなされているが、上記の解析結果はCML由来巨核球がCML幹細胞の生存および自己複製を支持している可能性を示す興味深いデータと考えられた。CML由来巨核球がCML幹細胞を支持することをin vitroで検証し、そのメカニズムを探る研究を新たに開始しているが、未だポジティブな結果は得られていない。一方、すべての慢性期CML患者でcommon myeloid progenitor (CMP)分画が拡大しており、同分画の90%以上がBCR-ABL陽性CMLクローンで占められていた。つまり、CMLクローン増殖は幹細胞分画では必ずしも起こっておらず、CMP分画で正常細胞に対する増殖優位性を獲得することが明らかとなった。このCMP分画のマイクロアレイ解析から、CMLクローンに極めて特徴的な遺伝子発現パターンが抽出を試みた。なかでも、顆粒球分化に重要な役割を担う転写因子IRF8の強い発現抑制が認められた。IRF8ノックアウトマウスはCML様の骨髄増殖性疾患を発症することが知られていることから、CMLクローンの増殖優位性獲得にIRF8の発現抑制が関与する可能性が示唆される。IRF8の発現が抑制されるメカニズムについて、non-coding RNAの関与を中心に引き続き解析を行ったが、未だポジティブな結果は得られていない。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] α-Mannan induces Th17-mediated pulmonary graft-versus-host disease in mice.2015

    • 著者名/発表者名
      Uryu H, Hashimoto D, Kato K, Hayase E, Matsuoka S, Ogasawara R, Takahashi S, Maeda Y, Iwasaki H, Miyamoto T, Saijo S, Iwakura Y, Hill GR, Akashi K, Teshima T.
    • 雑誌名

      Blood

      巻: 125 ページ: 3014-3023

    • DOI

      10.1182/blood-2014-12-615781.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Preserved in vivo reconstitution ability of PBSCs cryopreserved for a decade at -80 °C.2015

    • 著者名/発表者名
      Shima T, Iwasaki H, Yamauchi T, Kadowaki M, Kiyosuke M, Mochimaru T, Takenaka K, Miyamoto T, Akashi K, Teshima T.
    • 雑誌名

      Bone Marrow Transplant

      巻: 50 ページ: 1195-1200

    • DOI

      10.1038/bmt.2015.147.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A TIM-3/Gal-9 Autocrine Stimulatory Loop Drives Self-Renewal of Human Myeloid Leukemia Stem Cells and Leukemic Progression.2015

    • 著者名/発表者名
      Kikushige Y, Miyamoto T, Yuda J, Jabbarzadeh-Tabrizi S, Shima T, Takayanagi S, Niiro H, Yurino A, Miyawaki K, Takenaka K, Iwasaki H, Akashi K.
    • 雑誌名

      Cell Stem Cell

      巻: 17 ページ: 341-352

    • DOI

      10.1016/j.stem.2015.07.011.

    • 査読あり
  • [学会発表] Pomalidomide+Low-Dose Dexamethasone in Japanese Patients with Relapsed/Refractory Multiple Myeloma.岩﨑浩己、他2015

    • 著者名/発表者名
      岩﨑浩己、他
    • 学会等名
      第77回日本血液学会総会
    • 発表場所
      金沢
    • 年月日
      2015-10-17
  • [図書] Molecular Pathogenesis and Treatment of Chronic Myelogenous Leukemia. Chapter 1 Identification and Biology of CML Stem Cells.2016

    • 著者名/発表者名
      Hiromi Iwasaki and Koichi Akashi
    • 総ページ数
      193
    • 出版者
      Springer Japan
  • [備考] 九州大学医学部第一内科(病態修復内科)

    • URL

      http://www.1nai.med.kyushu-u.ac.jp

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公開日: 2017-01-06  

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