研究課題
具体的内容として、最終H27年度は、慢性骨髄性白血病 (CML) 幹細胞様形質を示し、抗がん剤やABL阻害剤に多剤耐性をきたす低酸素適応性CML細胞株にも2-Hydroxypropyl-β-cyclodextrin (CyD) が有効であることを明らかにした(PLoS 2015)。また幹細胞で重要な役割を有するBMI-1が高発現をしている急性骨髄性白血病(AML)患者の予後が悪いこと、そしてBMI-1阻害剤 PTC-209 が 細胞株のみならず患者AML細胞にも有効であることを報告した(Cancer Sci 2015)。研究機関全体としては、H25年度は、低酸素適応時に誘導されるHIF-1αのトランスジェニックマウスにリンパ系腫瘍が高頻度に出現することを明らかにした(PLoS One 2013)。H26年度は、CML細胞が破骨細胞と接着することによりABL阻害剤に耐性を示すことを明らかにした(論文準備中)。H27年度研究の意義として、CyDやPTC209が正常造血幹細胞よりCML幹細胞様細胞あるいはAML細胞に対する効果が大きいことを明らかにし、創薬シーズとなり得ることを示した。研究期間全体の意義は、低酸素が白血病の病態に密接に関与していることを明らかとし、低酸素を標的とした創薬の必要性をさらに明確にした点である。白血病幹細胞と正常造血幹細胞の特性にはあまり大きな差異がない。白血病幹細胞を殲滅することが完治に結びつくと考えられているが、白血病幹細胞に有効な薬剤の多くは、正常造血にも障害をきたし易いため、臨床応用が難しい。本研究でCyDやBMI-1阻害剤が、正常造血細胞より白血病幹細胞に指向性の薬剤であることが明らかとなり、創薬シーズとして非常に重要性が高い。
すべて 2015 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 備考 (1件)
PLoS One
巻: 10 ページ: e0141946
10.1371/journal.pone.0141946. eCollection 2015
Cancer Science
巻: 106 ページ: 1705-1713
http://www.saga-hor.jp/main/