研究課題/領域番号 |
25461426
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
西片 一朗 宮崎大学, 医学部, 助教 (50253844)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | ATL / Exosome / TSLC1 / CAV1 / TFR / NF-kB / p47 / Tax |
研究概要 |
(1) 無血清で培養可能なATL細胞EDの培養上清から精製したExosomeを質量分析計で蛋白質の網羅的解析を行った。ANXA2を同定したが、WB解析でATL特異的Exosome蛋白質とした血中TSLC1やCAV1は検出されず、Exosome不含FBSで培養できたATL細胞からExosomeを調製、検討を継続中。TFRも、網羅的遺伝子発現解析の結果、ATL細胞特異的高発現であり(Sasaki, Blood, 2003)、同細胞由来ExosomeのWB解析で存在が証明されたため、検討に追加した。ATL特異的分子に対する蛍光標識抗体を用いた、SBI社Exosome解析Kit (CD63,CD9,CD81) によるFACSや免疫染色、PerkinElmer社AlphaLISA超高感度相互作用解析系でExosome蛋白質の解析を行う準備が整い、同ATL特異的因子を検証中。 (2) ATLにおけるTSLC1発現に関与する活性化領域として転写開始点上流-680から-729塩基の領域を同定、転写活性化にNF-kBが関わることが判明。HTLV-1感染細胞株では古典的および非古典的NF-kB情報伝達系、TSLC1発現ATL細胞株では古典的NF-kBによる転写活性化を確認。Tax発現誘導JPX9ではHTLV-1 Tax発現依存的にTSLC1発現が亢進、TSLC1高発現MT-2細胞ではshTax plasmid導入に伴うTax発現低下とTSLC1発現低下を見た。本領域でのChIP解析の結果、TaxがNF-kB転写活性化複合体に含まれ、NF-kB活性と共に、TaxがTSLC1発現に関与することが示唆された。ATL細胞において、Tax非依存の、古典的NF-kB情報伝達系に関与する因子の検討で、p47の蛋白質レベル低下がATL特異的であり、TSLC1遺伝子活性化の要因と考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
所属する宮崎大学医学部の基礎研究棟では、昨年から大掛かりな耐震補強改修工事が継続されている。この研究環境の急激な改変の影響が大きい。具体的には、研究スペースの大幅な減少に伴い、本年度課題スケジュールの推進に必要な試薬の事前調達やサンプルの事前調製を実施する場合にも、安全・安心に保管できる場所に余裕が得られず、制限を受けることが多く、合わせて、研究機器の帰属や管理システムも大幅な改変が行われ、現在も、システムは未完成であり、十分に機能できていないことが、達成遅延の原因と考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策には特段の変更点はなく、予定通りと考えている。必要な機器に関する、同関連メーカーからの短期間無償借用、または、測定の外注で対応するなど、本年度の研究推進の遅延は、次年度の研究推進に影響を与えることなく、解決できる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
所属する宮崎大学医学部基礎研究棟で継続されている改装工事に伴い、研究環境の急激な改変の影響が大きい。具体的には、研究スペースの大幅な減少に伴い、研究推進に必須な試薬やキットの事前調達やサンプルの事前準備の時間、並びに、これらの保管・保存に必要なスペースに制限を受けたことから、今期中の測定を断念したため、必要な試薬やキットの購入を中止したことから、当該次年度使用額が生じた。 今後の計画に大幅な変更を加えることは考えていない。急激な研究環境の変更にも関わらず、検討に供すべき試料の調製および保管等の状況を確保できたので、次年度、キットを購入後、直ちに試料を測定し、使い切りとすることで、今後、このような問題は回避できる。
|